第1話
この世界では竜は強さの証である
竜、それは絶対なる存在
竜、それは強き者の証
竜、それは自由の象徴
竜と名付けられた者はそれだけで強者の証となる
だがその数多くいる竜の中でもとりわけ力が強い竜は真竜と呼ばれる
そしてその真竜の称号をあるがままにする存在がいる
それがこの我輩!!!その名は黒竜!!!闇属性を司る竜である!!!
我が覇道はこれから始まる...そう、真竜の称号の名の元に世界を我輩の物とするのだああああああ!!!
...とか黒竜に転生してすぐの時は思っていたのであるが平和な国日本で暮らしていて虫も殺せない様な性格だった我輩に人や他の生き物を殺す勇気や度胸などある訳も無く情けないと言われながらもただひたすらに父様の教育と自己鍛錬に勤しみ向かって来る者を追い返す生活を数100年程続けていたらいつの間にか最強とか呼ばれる様になっていたのである、口調に関しても父様にもっと威厳のある喋り方をするのだとか言われて強制的に矯正された。
そんなこんなで最強の竜と呼ばれ敵を追い返す日々にも疲れた我輩は静かに暮らそうと思い100年程前から誰も寄り付かない様な不気味な森に身を潜め暮らしていたのであった。
だが、最近になってある問題が発生していた。
よくよく考えると我輩この世界に産まれてから教育と鍛錬しかしていなく友達と呼ばれる存在が1人もいなかったのである、数100年生きてきて初めてその事に気付き急に寂しくなった我輩は友達が欲しくなってしまったのである。
そして友達が欲しいなーと思い始めてから数年。
その願いはある幼女によって叶えられるのであった。
黒き森、そこにはとても恐ろしい黒竜が住むと言い伝えられる場所...その森の最深部にある誰も近寄らないような場所で我輩は言い伝えの通り暮らしている
...しかしそんな所には場違い過ぎる程美しく儚くそして幼い幼女が1人で吾輩の真下に座っていた
「ねー...まだー?」
その幼女はとても可愛らしい声で吾輩を急かす
「うるさいのであるぞ、我は今思考中なのだ、もうしばしまたれよ」
四本指で器用に小さい白い石を持つ我輩
その視線の先には8×8=64のます目で構成された盤面...オセロである
しかしこの幼女、本当に幼女か?と思う程に強く盤面の八割は最初に幼女が選んだ黒色の石で埋まっている
「あと10秒だけだよ!」
「なっ!?待つのだ!酷いのであるぞ!吾輩もうどこに石を置けばいいのか分からないのである!」
正直四つ角取られた時点でもう勝てないと悟ってはいるのであるが
「しょうがないなー!ここに石を置けばいいんだよ?」
そういって少女は盤面のまだ石が置かれていない部分を指さす
「なんと!...しかしその手には乗らないのである!ここに石を置かせて貰うのである!」
吾輩は幼女が指さした隣に石を置く、そんなだましうちには乗らないのである
「もー...はい私の勝ち!」
少し困ったような顔をしながら我輩が置いた場所のである隣に黒石を置く、ルールにそって黒石に挟まれた我輩の白石はどんどんと黒石になっていき最終的には盤面に白石が無くなった
「ぬあああああああああああああ!!!!!!」
悔しいのである悔しいのである悔しいのであるぅぅぅぅぅぅううううう!!!!
...と、まぁここ数ヶ月こんな風に幼女と遊びながら毎日を過ごしているのであるが未だにこの幼女が何者なのか分かっていない。
数ヶ月前この幼女突然我輩の前に現れ我輩をじっと見つめて何を言うのかと思ったら臆する事なく遊ぼうと言い出したのだ、特に断る理由も無くむしろ友達が欲しかった我輩は良いぞと言ったら毎日来る始末、とんだ肝っ玉幼女である。
しかもこの森に住んでるとかではなく夕暮れになると何処かへ帰っていくのだ、前に1度気になってこの森の周辺を飛んでみたのだが近くに集落という集落も無く何処から来てるのか本当に謎である、とりあえずは我輩に危害加えなさそうだし良いかくらいの気持ちで遊び相手にしてやっているのであった。