宿舎にて
諸事情の為ユザネを変更致しました(ξっ´ω`c)
んー…毎回思う事だけど1話当たりの文章量が短いかな…。
出来るだけ長く書けれるように頑張ります(*`・ω・´)
「さてと…っ、着きましたよ、ここが宿舎なのです」
徒歩数分、レイチェルはそう言い、レンガに似た物で作られた建物の前で足を止めた。レイチェルの言う話では、どうやらここには色んな職業の人間や善良な魔物が住んでいるらしい。
レイチェルはその中に入ると、沢山の扉を抜けて一番奥まで進み、220と書かれたその扉を開いた。
「よいしょ…っと…今戻りましたのですっ」
扉はやけに頑丈な造りになっており、簡単な力では開かない仕様になっていた。今の……前までの俺でも1人じゃ絶対に開けられないだろう…。
レイチェルは部屋の中へと入っていく。俺もそれに続いた。
「随分と遅かったな」
その部屋に居た先程の男…レジェルは椅子に腰掛けながら真黒な剣を手入れする手を止め、顔を上げた。木製のテーブルに置かれたカップから湯気が立っている。
「え、えっと…」
会ったのは良いが何て話しかければ良いか……というか何を言うべきか分からない…。何も言えずに固まっていると、彼の口が先に動いた。
「貴様、名はなんだ」
いつの間にか近づいていたレジェルは氷のように冷たい手で俺の俯いた顔を上げた。
「う…っ」
何だこれ、物凄く怖い…。レジェルの無慈悲な表情と目はまるで敵を見るような目だ。早く答えてしまわないと命は無いかもしれない、俺は半ば半泣きで呟くように答える。
「え…えっと、俺の、名前は……名前……は……」
………ここで俺は肝心な事に気づいた。名前…なんだっけ?今まで忘れたこともない自分のそれが一体何だったのかがどうしても思い出せない。
「ど…どうしよう…」
俺は遂に何を言えば良いか分からなくなってしまい半分パニック状態に陥る。もし取って付けたような下手な偽名を使ったとしてバレたりなんてしたら……。だからといって分からないと答えれば怒りを買ってしまうかもしれない。もしそうなったら……。て
「レ、レジェル様…そんなに怖がらせたらこの子が可哀想なのです……」
レイチェルはこの緊迫した雰囲気に居たたまられなくなったのか、そう言って俺を庇ってくれた。
「レイチェルは静かにしてろ。……にしても、自分の名を答えられないか。と言う事はお前もレイチェルと同じ…」
❪同じ…?❫
俺はレジェルの言ったレイチェルと同じ、という言葉の意味を理解出来なかったが、反射的に頷いた。
「そうか。ならお前の名は今ここで召喚主に付けてもらえ」
レジェルはレイチェルを指差しながら言った。
「はわぁ!?私が……なのですか!?」