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Lost Sword ―転生の蒼剣―  作者: 彗星リトルスター。
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見知らぬ公園と謎の剣

「くっそ…何だこれ、あっついな…」

草むしりから開放されて早や時刻は17時過ぎ。直に日が沈もうとする頃合にも関わらず、地獄の様な暑さは未だご健在の様子だ。

「だ、だめだ、死にそ……」

何時間も無報酬…そう、[無報酬]で作業してその間水しか飲んでなかったからリアルに死ぬ予感がしてきた…。こうなると分かっていれば顧問からスポーツドリンクでもぶん奪ってくりゃ良かったか…。ここから家までの距離はまだあり、とても喉の乾きに我慢出来るとも思えない。

「……ん…?」

だが…幸運な事に天はそんな俺を見放さなかった。ふと目に付いた公園…そこに自動販売機が設置されてるじゃないか!!

「有難てぇ…!」

今の俺にはただの自販機が神の救済にすら見えた。先程の疲れはどこへやら、救済の箱へ向かって猛然と駆けていった。



ー数分後、俺はコ〇コーラを片手に見事に復活を遂げた。

「助かった…」

ヤバかった、もしこの公園が無かったら今頃どうなっていたことか。喉を流れる炭酸を一口ずつ噛み締めながら、俺は公園内を見渡した。ここで俺は初めて気付いた。

「…そういやこんな公園いつ出来たんだ…?」

学校から家まで、最短距離で進もうが遠回りだろうが、公園なんて存在しない筈なんだが…。

「あー……もしや道でも間違えたかな……」

あまりの暑さに方向感覚が狂ったか?帰れなくなったら、俺はその不安に駆られながらも取り敢えずは公園のベンチに腰を掛ける。スマホさえあれば今の位置が分かるんだが、生憎今は持ち合わせていない。

「っと、トイレ行きたくなってきた……」

喉が潤された事によりトイレに行きたくなり立ち上がる。…大抵の公園に設置されている公衆トイレ、この謎の公園も例外ではなく、俺の腰掛けているベンチの10数メートル程前にあった。そこへの道のりを半分程進んだ時…ふと視線を逸らした先に何かを発見した。

「…なんだあれ、光ってるような…」

その「何か」は砂場に存在している。この距離からはそれが何かは特定出来ないが、公衆トイレの数メートル横にある砂場に何かが刺さっているのを見つけた。あれは何か、俺はつい好奇心が働いた。下半身に余裕があるのを確認すると、目標を変更して砂場へと向かった。

「これは…剣?」

刺さっていたのは薄く青色の光を放っている金属の塊。よく見るとその柄には小さな文字で何かが書いてあった。

「なになに…召喚者求むのです…?」



…何これ。

何だか分からないけど凄く…。物凄く…。

「くだらねぇ…」

これを刺した奴の意図が分からない、大方ゲームに影響された奴がお巫山戯で刺した物だと予想は出来るが、だとしても余りにも稚拙すぎる。俺は何か良い物が…例えばこう、金になるものとかが刺さっていると期待してた分がっかりし、気を取り直してさっさとトイレの方へ体を反転させた。こんな下らない物一体誰が作ったんだか。俺はそう思った。

「……まぁ」

数秒間の空白後、トイレへ行く筈の俺の体は再び剣へと向き直った。確かに子供すら騙せないような代物だなんて分かっている。分かってはいたが、俺もまた子供だった。地面❪砂場だけど❫にいかにも抜いてくれと言わんばかりに刺さった剣…リ○クのマ○ターソードを彷彿とさせるこの剣、厨二病の人なら誰しも抜きたくなるだろう…。

「折角だからお遊びに付き合ってやるか…」

俺は剣を強く握る。目を閉じ、息を吐く。

「よし…封印から解けろ、蒼き剣…!!はぁぁぁぁぁぁあっっ!!」

俺は厨二病全開で剣を思い切り抜いた。砂と金属が擦れ合う音と共に、それは思ったより勢いよく抜けた。さぁ…何が起きる?

…………………………。

…………………。

………。

「………」

虚しい、俺の心に悶々とした感情が湧き上がる…。

いや、冷静になって考えてみれば俺は一体何をしてんだ。来年受験生になると言う奴は。いやそんな事はどうでもいい。それより。

「今の…誰も見てないよな…?」

シンと静まった辺りには、人がいる気配はない。いつの間にか先程まで鳴いていた蝉もすっかり押し黙っていた。余りの痴態に蝉すらもドン引きしてしまったようだ……。

「あー……取り敢えず、家に帰って頭でも冷やすか…」

俺は辺りを見回し、先程の黒歴史級独り茶番が誰にも見られていない事を確認して安心した後、抜いた剣を再び刺し直そうとした。

「あれ、っかしーな…」

だが、どういう訳か刺さらない。先程抜いて大きな穴が空いた所に刺し戻そうとしても、何故か収まらない。

「んー…?」

なんとか戻そうとしていた、その時。

「…っ!?」

突如剣を中心にして円状の結界のようなものが張られた。そして次の瞬間には剣全体から眩しい青光が迸り、俺を包み込むように覆った。そこから…。

「なんだこれっ…?ちょっ…!」

抵抗も虚しく、俺の意識は闇へと消えていった…。

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