緋色の夢
犯人を探していた。
遊園地と公園を足して半分に割ったような場所だった。前にも見たような気もする。上を高速道路が走っていた。
犯人が具体的に何をしてしまったのかは思い出せない。残酷な事実だった気がしてならないが。
私はパラソルの下にいた、小さな少年に話を聞いていた。青いTシャツに、砂色の短パン。少年に事件の話を聞いていると、ふと少年が言った。
「そうそう、そのときの犯人の後ろ姿が、S兄ちゃんにそっくりだったんだよね」
その言葉に私は愕然とした。
——なんてことだ(そう心に呟きながら、隅の方では、“やっぱりか”という思いがある)。
Sは高校時代の友人だった。成績優秀の切れ者で、人当たりも良かった。犯人はそのSだったのだ。
高速道路の下、日影になっている場所は、芝生の小山になっていた(今思うと布団に形状が似ていたかもしれない)。そこで、私はSを見つけた。
Sはピストルでもって、見慣れた黄色い原子力マークの付いた爆弾を、作動させようとしているところだった。Sはためらった。Sがためらったのは、私がそうあれと望んだからかもしれない。
私はSからピストルを取り上げると、最後の一発を青空に向けて撃ち放った。Sは泣き崩れた。
悔しかった。その情動の源泉も、思い出すことはできない。