フサくら坂
細く湿っぽい廊下の先の小部屋。そんな雰囲気のカラオケボックスにぞろぞろと入り込んでいく。
その時。隣にいる大男がさっとマイクを握りしめた。のけぞるようにその顔を見やる。さっきまでヘラヘラしていたその風貌はもう残ってはいない。軽く息を吸い込んで解き放したその声を聴いた途端、私はすっきりと目覚めたような不思議な感覚を覚えた。しぶい低音ボイス。放射状に伸びていくビブラート。
静かな恋の始まりは、桜色だった。
細く湿っぽい廊下の先の小部屋。そんな雰囲気のカラオケボックスにぞろぞろと入り込んでいく。
その時。隣にいる大男がさっとマイクを握りしめた。のけぞるようにその顔を見やる。さっきまでヘラヘラしていたその風貌はもう残ってはいない。軽く息を吸い込んで解き放したその声を聴いた途端、私はすっきりと目覚めたような不思議な感覚を覚えた。しぶい低音ボイス。放射状に伸びていくビブラート。
静かな恋の始まりは、桜色だった。
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