あの時感じた感覚を、共に感じる事ができたら・・・
風と空とわたし達の最後の夏。
風を肌で感じる。あぁ、なんて一人って幸せっ!!
亀沢北校の屋上は、生徒達の憩いの場でもある。ストリートバスケ用のコートまで作っちゃって……。わたしはそこで、眠りネコをしている。
『飛行症候群』
わたしは空を眺めるのが好きだった。そこへ邪魔者がよたよたと歩いてくる。
「オ……オイラ、もうダメ。このままだと死んじゃいそぅ」
わたしはむくっと立ち上がり『ウザイ』と拳を構えた。逃げられないよーに胸倉を掴んでまで俺を殴りたいの、キミ。
「大志ィィィ、足はもう大丈夫なんか?」
コウくんは気遣うように、一言。大志の足はまだ快調ではないらしい。
「あわわわわ……助けに来てくれてアリガトよ☆」
わたしがコウくんに気を取られている隙に、大志はコウくんの後ろに隠れる。
「おじゃま虫めッ」
わたしは舌打ちする。開けっ放しの屋上のドア。カギ、かけとけばよかったな。
わたし達はファミレスでパフェを食べながら『たこ焼き食べたかったな』なんて文句を言ってみたりする。そんな日常にわたしは満足しとるわけで、こんなバカな仲間にも満足なわけで、最後の夏も楽しい事があるの間違いなしなわけで。
「で、どうするよ?」
コウくんは口に付いた生クリームを拭うと、本題に入る。パフェを三個も頼んで、育ちすぎじゃ!!
「ハィ、山木耕一くん。二百字以上で意見を述べよ」
言い出した人に話しを戻す。自分が最初に答えなくて済む最高な手段だ、とわたしは密かに思っていたりする。
「えぇっ。ちょっと待って、オレ?」
慌てて考えるコウくん。二百字ないから却下。
「え〜と、クレープ屋とかたこ焼き屋とか……」
時間が無いってば。わたしが何か言いかけたとき「食べ物ばっかしですがなっ!!」とコウくんの隣りに座っていた大志が突っ込んだ。
「仕方無いやろ?!こっちは腹減っとんのやぁ!!」
パフェを三個もたいらげた人の言うセリフじゃないね。
「俺は食いもんより、体育館の舞台とかステージ使ってさ。ぱぁっと一花咲かせたいにゃ」
いつも以上にハイテンション大志は「最後やし、なぁ良くねぇ?」と、身を乗り出して聞いてくる。コウくんもわたしに(オレは何でもOKよ)の視線をむける。
「で、何やんの?」
体育館の使用なら、生徒会に頼めば何とかしてくてるかもしれない。珍しく、バカの話に耳を貸してやったというのに「は?」との返答。
「は、じゃなくて。具体的に何やんの?」
意味を理解していないかもしれないので、もう一度、繰り返す。
「あ、いや……それは」
気まずい。目をそらしてるってコトは、考えないで言ったんやね。バカ共は……。
「馬鹿者っ、考えてなかったんかィ!!」
コウくんは声色をわたしに真似て言う。それはこっちのセリフだつーの!!
「ぷはっ。コウくん、清華にそっくりや!!」
ほんまにそっくりや、って違うやろ。
「まぢ?オレの芸人魂はもっと凄いでぇ」
意味わからん。
「キャハ☆」
こいつら……いつか血祭りにしたる。
といっても、わたしに提案なんてなく、ただ批判するだけの評論家にすぎない。それでも大口を叩ける度胸は負けない。そもそも、勝ち負けなんてないんやけどさっ☆
ただこの一瞬、わたし達を風が飛ばしてくれた気がするんだ。
飛ぼう、一緒に。
誰のものとも違う、思いを乗せて・・・・・
ぼくらの夏は始まったばかりだ。
ハイ。とうとう七部まで来ました。わたしはどちらかと言うと、全然知識が足りません。小説なんて思いつきだし、面倒なとこ飛ばしてるし…めちゃくちゃです。でも、多くの人が気に入ってくれたらうれしぃなっ☆
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