甘やかされた先輩
確かに昨日は何だか仕事中も気怠い感じがあった。だけど、どうしても当日に終わらせる仕事が残っていたから、1日中社内を動き回っていた。
だからだろうか、今日はとても身体が重い。鉛に繋がれた鎖が、身体中に巻き付いているのではないかというくらい。とても動きが鈍かった。だから、仕方ない。今日は休むしかないと思ってどうにかスマホを手に取って上司に連絡をとった。
いつものような嫌味を一言添えられたけど、そんなこと気にしていられないくらい辛くて、そのまま朝から寝てしまっていたみたい。
ふと、昼時になった頃に寝汗が身体を這っていて、ベタついている不快感で目が覚めたみたいだった。そんな最悪の目覚めだったけれど、光るスマホがどうしてか気になって。熱でぼうっとするし、身体はまだ重いけれど、どうにか手を伸ばしてスマホを引き寄せて、中のメールをみたら。。。
あの子からだった。短い文章に、私を心配するあの子の声がここまで届きそうなくらい。嬉しい、私のことを考えてくれている。そう、わかる内容で。辛いと思っていた気持ちが、少し上昇して。自分の現金さに嫌気が差すけれど。
【お疲れ様です。先輩、体調どうですか?多分返事をするのも辛いだろうと思いましたが、先輩の様子、気になってしまいました。もし何か出来ることがあれば連絡ください。直ぐに必要なもの、持っていきますから。】
ふっと、笑みが溢れた。こんなに、心配した顔が浮かぶこともないと思ったけれど、そうか。私はあの子をよく見ているから、一挙手一投足の行動がわかってしまうのか。
そんな特殊能力、本人が知ったら、気持ち悪いかもしれないけど、あの子の動きが、手に取るようにわかるから、嬉しくなってしまった。でもこんな、私を心配しているあの子に迷惑はかけられない。心配なんてさせたくない。だから、お礼の言葉と心配無用、って返そう。そう、思ったはずだったのに。。。
トン、トン、、とメールを打ち返していた自分に、特別おかしな気持ちがあったわけでも、どうにかなりたい、なんて思ったわけでもなかったはず。だけど打ち込み終わった文章を見返して、ヒュッと肝が冷えて愕然とした。
【お疲れ様。心配してくれてありがとう。朝の時より大分マシになりました。まだ身体は重たい感じはあるけど、どうにか、持ち直してます。特に必要なものがあることもないので、気持ちだけもらっておきます。だから、心配しないで。
だけど、それでも。もし貴女がいいなら、私は会いたい。今日が会えなかったぶん、たくさん話したい。貴女と一緒に、時間を過ごしたい。】
ああ、最後になんてバカなことを打ち込んでいるのか。きっと、熱に浮かされた思考回路が、弾けてしまったのだろう。よかった。送る前に見返して。こんな、あからさまな文章、送ってしまっていたら全てが壊れてしまっていたから。
だから、こんなこと、送ってしまったらダメだと思ったはずだった。けれど、あの子に会いたい、この気持ちはきっと、風邪が私をおかしくしたのだ。きっと、そうに違いない。メールを送る前に読み返した私は、あの子に会うために、ちょっとズルいことをした。。
【お疲れ様。心配してくれてありがとう。朝の時より大分マシになったけど、まだ身体は重たい感じがあって。ちょっと食料を買いに行くことが出来ないです。貴女の迷惑になるかもしれないけど、お言葉に甘えて、何か食べるものを持ってきて欲しいです。よろしくお願いします。】
ちょっと嘘をついた。どうにかしたら買い物くらいは行けそうだったし、家にはレトルトとかあったから。欲しいものがあるわけでもなかったのに。あの子の送ってくれたメールの好意をそのまま受け取った様にして。買い物を頼んでしまった。なんてひどい先輩だろうか。後輩をパシリに使うなんて。だけど、今日はどうしても、あの子に会いたいから。ズルいことをしてしまった。
するとしばらくして、送ったメールに、あの子は快く承諾の返事をくれた。。。
ピン、ポーン。。。
夕方になってチャイムが鳴った。きっとあの子だ。また、熱が上がるのかというくらい、今の私は気分が上がって浮かれている。だけど、あの子の前では、そんな恥ずかしい真似できないから。。。
インターホンカメラを確認して、あの子だったから。がチャリ、と扉を開けた。すると、「先輩、お疲れ様です。体調、どうですか??」思ったとおり、心配そうな、上目遣いに見上げるあの子の顔がそこにあった。
「お疲れ様。今日はありがとう。仕事も忙しかったでしょうに、買い物なんてお願いして。体調、大分楽になったわ。夕方まで寝たからかしらね。」そうやって、あの子を労う言葉をかけた。本心だったし、もっとお礼もしたかったけど、明から様すぎるのは、よろしくない。あの子を恐縮させるだろうから。
「良かった。」私の体調くらいで、ホッとした顔をあの子がしてくれる。それだけでこっちが幸せな気持ちになる。それに。
「いえ、そんなことないですよ。以前先輩も私が風邪を引いた時、お見舞いに来てくださったじゃないですか。困った時はお互い様、ですよね。」そう、ニッコリとあの子は私に微笑んでくれた。私が以前言ったこと、覚えていたのか。私に優しさを、返してくれるのか。ああ、あの子の微笑む笑顔に顔が赤くなる。
色んな気持ちが広がるけれど、1番は、どうしようもなく、愛おしい。このまま、ずっと一緒にいてしまいたい。この子を、自分だけの、ただ1人にしたい。独り占めを、してしまいたい。。。だけど、この子の1番は私なんかじゃない。きっと、この子は皆んなに公平。この子の幸せは、私なんかじゃなれないから。全てが悔しくてもどかしい。ごちゃ混ぜの気持ちが私を蝕む。
さっきのメール、ほんとに打ち直してよかった。この笑顔を曇らせるところだった。こんな、グチャグチャな気持ち、この子に知られなくてよかった。。。
「本当に、今日はありがとう。お使いなんて申し訳ないけど、とっても助かったわ。」
「いえいえそんな。。。ホントに気にしないでください。以前の恩返しでもあるんですから。あ、先輩。それと、風邪でお辛いかもと思って、レトルトのお粥以外にも、プリンとか栄養ゼリーとか、食べやすいもの、選んできました。それと、先輩がお好きなみかんゼリー、コンビニで買ってきましたよ。」
「そう言ってくれて、ありがとう。気が楽になるわ。それと、みかんゼリーも嬉しいわ。あ、精算しないと。いくらだったかしら?」
驚いた。私がみかんゼリーが好きだと言ったこと、覚えていてくれたのか。こんな大したことないことでも、覚えていて。この子はホントにいつも気配りが出来る子だ。だからスマートにいつも仕事をこなすのだろう。こういう気配りが出来るから、取引先でもこの子は好かれているんだろう。そう誇らしくなるけど。私だけにしていることじゃないんだと思うと、少し寂しい気持ちにもなった。
「えっと、そんなに高くはなかったし。。。先輩のお見舞いを兼ねてますから。精算なんて、する必要ないですよ。」ちょっと戸惑う様にいうあの子に遠慮をされている気がして、もっと寂しい気持ちになる。こんなことで、気を使わせてしまうなんて、って。
「いいわよ。遠慮なんてしなくて。私が頼んで買ってきてくれたものなんだから、ちゃんと精算しないと。むしろ、ここまで来てくれたんだから、お使い代も必要なくらいよ。」
「そ、そんな。そんなつもりないんですから。お使い代なんて必要ないです!」そう驚くあの子に。
「それなら、私の気持ちが治るように、精算はちゃんとさせて??」なんて切り返していた。
「〜〜〜〜っっ。わかりました。ちょっと納得は出来ないですけど、先輩がそうどうしてもって仰るなら、受け取ります。」渋々という感じだけどどうにか受け取ってくれたあの子。そんな様子もいつものようで、今日も会えたことが、嬉しい気持ちになったけど。
「それじゃぁ、折角ここまで来てくれたんだけど、風邪を移しても悪いから、また元気になって会いましょうか?」って言っていた。
「え。」驚いた顔をするあの子。「どうしたの?」
「あ、えっと。。。。。もし、先輩がお嫌でなければ、ご飯の準備とか、しましょうか??ほら!身体もまだ辛いでしょうから、手伝えること、させてもらえたらって。だって、折角お見舞い、来たんですから。手伝わせてほしいです。。。」なんて返してきた。
嬉しい。まだこの子と一緒にいられる??そんな幸せなこと、あって良いのかしら。そう、浮かれそうになるけど。きっとあの子なりの気遣いだから、迷惑になるかもしれない。だから。
「そんな、気を使わなくてもいいわよ。明日だって、仕事もあるんだから。ここまで来てもらって有り難いのに、それ以上お願いするなんて、バチが当たるわ。今日は帰ってゆっくりして?」そう、返した。
「そ、そんなことないです!私、気を使ってないですよ?先輩に以前してもらったこと、嬉しかったから。私も、先輩に出来ること、返したいだけです、、、」ちょっとしょんぼりするような様子で私に返してくるあの子。どうしよう。私も嬉しい。こんな、ただの職場の先輩がしたことを今も覚えててくれて、恩返ししたいなんて、なんて、良い子なんだろう。私も、あの子とまだ一緒にいたい。だから、この提案に乗ってしまう。。。
「そう?ホントに貴女の迷惑じゃなければ、せっかくだから、お願い、しようかしら??」
「はい!先輩のして欲しいこと、手伝います!!」パッと綻んだ顔を私に向けたあの子に、どうしようもなく、締め付けられる気持ちになった。
ガチャ。と我が家のリビングに、あの子を通してしまった。ああ、とてもソワソワしてしまう。だって、あの子が私の家に、いるんだから。
「お邪魔します。先輩。」
「ええ。片付いてない部屋だけどごめんなさいね。」
「そんなこと、ないです。私の部屋なんかと違うくらい、整頓されてますよ。」少し驚くあの子の顔が、私に気を使っているんだろうと思う。でも。
「そう?それなら、良かった。」お世辞かもしれなくても、今は議論する余裕もない。私の心臓ははち切れそうなんだから。だって、この部屋にあの子がいるだけで、まるで、一緒に暮らしているかのよう。そんなありもしない都合の良い錯覚をしてしまう。なんて、卑しい先輩だろう。こんな気持ち、あの子になんて知られたくない。。。
「それじゃ先輩、私、お粥を温めましょうか??」そう、スクッと立ちあがろうとするあの子。それはなんだか新婚みたいで嬉しいんだけど。。。ああ、今は胸がいっぱいで食べられそうもない。食事よりも、この時間をもっと、過ごしたいから、、、
「ああ、まだいいわよ。さっき少し食べたから。まだ、お腹が空いていないの。」そう、嘘をついた。さっき起きたばかりなんだから、食べてなんかいないのに。「え、そうですか??それなら、私に出来ること、何かないですか??これじゃただ、私上がり込んだだけになっちゃいますから。。。」「そんな気を使ってもらわなくても良いんだけど………折角だから、前みたいなこと、貴女にして欲しいわ。」ちょっとわざとらしく、でも、ちょっと期待して。意地悪そうな、表情をあの子に向けて。もし、叶うなら、あの子にしてあげた、フルーツ缶を食べさせたようなこと、して欲しくて。言葉は濁したけれど、気づくかしら、あの子。
「え?あの時……??……!?っっっ〜〜!!あ、アレ、ですか??」チラと赤い顔をさせながら、私をみて。きっと、あの時あの子は熱にうなされてたから。あの後触れることもなかったから、きっと、後悔するほど恥ずかしかったのだろう。
「冗談よ。。。もし、貴女が良ければ、買ってくれたもの、片付けるの手伝ってもらおうかしら?」なんて、冗談のフリをした。あの子が真っ赤な顔をして、後悔しているんだろうと思った途端、日和ってしまった。なんてズル賢い先輩なんだろう。あの子、顔を白黒させて、困った様な顔、しているもの。私のこと、嫌いになんてなって欲しくない。だから、そう返したのに。
「………。あの、先輩、もしみかんゼリー、食べるなら、わたし、しますよ??」
「えっ??」驚いた、まさかあの子が冗談、言ってくるなんて。「そんな、ごめんなさい。あの時のこと、揶揄うつもりはなかったのよ。ちょっと思い出したから。それだけ。だから、気を使わなくていいわ。」そう、切り返す。だけど。
「いえ、分かってます。先輩、そんな酷いこという人じゃないから。だから。私も、あの時、嬉しかったから。熱で苦しかった時、食べるの、大変だったから。食べさせてもらえて、嬉しかったから。先輩、して欲しいって言ってくれるなら、、、お腹は空いてないのなら、みかんゼリーで。食べませんか?」なんて、冷静に考えても、なんて、甘えるような、提案をしているのか。そしてこの子は、本当にどこまでお人よしなのだろう?それとも、私を揶揄っているのか??でも、今それをしてらえるなら、私だって、嬉しい。それに、いつか、思い出にだってなるから。だから、これは、きっとこの熱がそうさせただけ。そう、言い訳をして。
「それなら、ゼリー、食べようかしら、、、」
なんて、言っていた。
ペリっ。ゼリーのフィルムを剥がすあの子。ああ、今から私は食べさせてもらうのか。なんて、甘えたことをするのだろうか。よく考えたら、こんなお願い、破廉恥すぎやしないだろうか。先輩と後輩にはよくあることなんどろうか。グルグルと考えが頭を巡って、また熱が上がっているみたいだ。だから、これは仕方ない。そう、自分に言い聞かせる。
「先輩、はい、あーん。」スプーンを、私の口元に近づけてくるあの子。ああ、その所作すら可愛い。その動きが、愛おしい。「はむ、、、」ごく。美味しい。なんだか、いつもより甘くて、蕩けるように美味しい気がする。何だろうか。こんなにゼリーって美味しいものだったか。手軽にするっと食べるものじゃなかったかしら。だけどこれは、甘美な高級菓子のようで。この世で初めて食べたものとでも言うのか。どうしてか、どうしようもなく。もっと、直ぐに食べたくなる。「もう一口。食べたいわ。」そう、声に出していた。「は、はい。先輩、どうぞ。」スッと掬って口に放り込んでくれるあの子。緊張があちらにも伝わっているようだけど、気のせいだろう。だってあの子に緊張なんて起きる理由がないのだから。
「ご馳走。美味しかったわ。やっぱり、みかんゼリーはいいわね。」
「よかったです。先輩の食欲が戻っているみたいで。」ホッと、胸を撫で下ろすようにいうあの子に。「そうね。おかげさまで。美味しいゼリーも食べられたし。明日は元気に働けそう。食べさせてくれて、ありがとう。」「いえいえ、お粗末さまでした。。。先輩。明日、もしまだお辛いようならお休み、してくださいね?無理はしないでください。」そうやって、少し朱い頰のあの子は、フルフルと手を横に振って返して、不安そうに私を心配しているようで。とても、心配してくれているのが伝わるから、嬉しくなった。現金な私はもう、風邪が治ったような気がして。「大丈夫よ。きっと明日は一緒にまた働けるから。貴女に負担をかけた今日の分、明日取り返すわ。」なんて調子良く言っていた。
「先輩、、、そんなことないですよ。いつも助けてもらってるんですから、こんな時くらい、取り返すなんて言わないで頼ってください。」ちょっと寂しそうにいうあの子にしまった、と申し訳ない気持ちにもなったけど、本心には違いないから。
「ほんとよ。元気になったから、明日は頑張れるし、貴女の仕事に信頼はしているから、心配はないけど、やっぱり貴女の負担にはなりたくないから、明日も頑張ろうと気合い、入れていただけよ。それに、いつでも貴女に頼ってばかりだから。申し訳ないくらい。いつも助けてくれて、ありがとう。」そう伝えて。
(。。。いつも助けられてるのは私。負担じゃないのに、私も返したいのに。。。頼ってほしい。先輩ばかり、抱えて、、、)ボソリとあの子が何か言うけど何て言っているか聞き取りにくくて。
「え?ごめんなさい。なんて言ったのかしら??」
「いえ、こちらこそ、いつも、助けてもらって、ありがとうございます。」フワリ悩ましげに微笑んだあの子。その理由がわからなかったけど。
「ふふ。なんだか、2人してお礼合戦してるみたい。ホント、貴女はいつも謙虚で良い子だわ。」
「そんな、先輩だって。私にとっても優しくて、良い先輩です。」
ああ、他愛ない会話が嬉しい。この子と仲が良い気分になれるから。
「ねぇ、今日は本当にありがとう。心配して、ここまで来てくれて。我が儘、聞いてくれて。嬉しかったわ。それに、今度は元気な時、貴女を招待したいわ。こんな、変な姿じゃなくて。貴女をおもてなしさせて??」こんな変な格好、見られたし部屋も片付いてないから。ちゃんとした時に会いたかった。あれ?でも私の家じゃなくても、一緒に出掛けて、そこで挽回、してもいいんじゃない??って後で気づいたけど、もう遅い。あの子ったら。「!!ぜひ!次は、元気な先輩と、一緒にお話し、したいです!!」なんて、キラキラした目でいってくるから。「じゃぁ、約束。次は一緒にご飯を食べながらお話ししましょう?」て、返していた。
今日は本当に、あの子に甘えて、あーん、なんてされて。まるで、恋人みたいだった。嬉しかった。だけどきっとこれは、前回のお返しをしてくれただけで。そんな気がある訳ではないんだろう。きっと懐っこいあの子が、スキンシップが好きなだけだから。深く、考えちゃいけないから。この気持ちは蓋をしなくちゃダメだから。勘違いしちゃ、ダメだから。。。
「それじゃ、今日は本当に、助かったわ。きてくれて、ありがとう。」少し寂しいけど、あの子が帰る時がきて。お別れをする時間になった。いつも仕事終わりは簡単にさよならが出来ていたのに。今日はなんだか離れ難い。なんでかなんて、考えなくても分かってる。甘えすぎた。ただ、それだけなんだけど。これ以上は、考えちゃダメ。。。全てを壊してしまうから。
「いえ、お役に立てたのでしたら。お休みのとこ、先輩に会えたから、私も嬉しいんです。だから、気にしないでください。」優しく微笑むあの子が、嬉しいことを言ってくる。それにやっぱり眩しくて、このまま離したくなんて、なかった。。。
「それじゃ、また明日会社で。」「はい、それでは、先輩また明日、体調良ければ待ってますね。」そう、最後に釘を刺されて苦笑い。「ええ、そうね。体調良ければ。」だけどあの子に会えたから、多分明日は元気いっぱい。それに、明日会えないことが、1番辛い。私の、元気がなくなってしまう、、、だから、明日また、会えることが私の活力。不純な動機だけど、絶対明日はあの子に会うため会社に行こう、、、
今日あの子に甘えたことは、心の中に仕舞って。誰にも、教えないように。。。
先輩、体調悪そうだったから。案の定、今日はお休み。ああ、嫌だな。今日一日会えないなんて。
そんなこと、考えて、先輩の心配二の次になんてしていたけど。だけど、これは、チャンスかもしれない。先輩の家に、乗り込むための。あわよくば、看病できるかもしれない。そんな、体調の悪い人に対して下心丸出しにメールをして。会えることになって。私、一人で有頂天になって。ひどいよね。本人が体調悪いのに、会えることに喜んで。
「ありがとう」なんて、言ってくれる。それに、先輩、寝巻き姿だった。いつもの大人びて綺麗、なんて格好じゃなくて。寝汗もかいてたのかな。そこは、色っぽいんだけど、着ている服がモコモコしてて、ワンコの絵柄、着ていたから。可愛い、が優って。ずるい。ギャップがひどいって、考えてた。
そしたら、しまった。先輩に買ってきて欲しいもの、リクエストなんて言われてないから、風邪で必要そうなもの買ってきただけのはずだったのに。先輩が好きって言ってたみかんゼリー、普通に渡しちゃった。しかも、好きなやつって言いながら。やばい。これじゃストーカーみたいだって。だって、雑談で一回しか先輩言ってないのに。後輩に好きなもの覚えられてるなんて、普通は嫌じゃない。なんて、思ったけど、喜んでくれた。好きなもの覚えててくれて嬉しいなんて。なんて、お人よし。優しい人。いつも、気を使ってくれる人。だから、仕事場でも皆んなに好かれてる。だから、他の人になんて渡したくない。とられたくない。私だけの、先輩でいて欲しい。なんて、思いながら。。。あーん、することになった。前に私がしてもらったやつ、まだ覚えてたんだ。嬉しい。私との思い出、ちゃんと覚えてくれてたなんて。ああ、ずるい。先輩と後輩でいたいのに。なんでこんな、私を喜ばすんだろう。それに、口を開ける姿、艶っぽくて、ドキドキする。大人の魅力、こんなとこにまであるなんて。それに、唇が赤くてなんだか、キスを、したくなってしまう。。。そんなこと、先輩に思ってなんかしまったらダメなのに、、、どうしよう、止められなくなる。もう、どうしたらいいの。なんて、考えてたけど、先輩、私のこと後輩としかみてくれないし、仕事も頼ってくれない。明日また出勤するなんて、言ってきて。なんでこんなに私を頼ってくれないんだろう?そう、寂しくなったけど、頼ってばかりなのは、私なのに、私にたくさん、頼ってるなんてお世辞を言ってくるなんて、、、でも先輩、今度はちゃん家に招待してくれるって。現金な私は嬉しくなった。
ずるい。先輩はいつもずるい。私が元気になる言葉、直ぐにすーっと言ってきて。私を笑顔にしちゃうんだから。なんだか手のひらの上で踊らされているみたいで不満になる。それでも、そんな先輩が好きなのは私だから。先輩の体調、これ以上悪くなって欲しくないから、明日お休みしてゆっくりして欲しい気持ち、ちゃんとあるのに。先輩が来るって、そう言っただけなのに。やった。明日もまた、会えるって、そう考えるだけで、嬉しくなって。先輩の身体心配してたのはホントなのになんだか嘘くさくなっちゃって。
ホント、私は先輩に甘えてばかり、、、




