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第94話 外交の影
各国の大使たちは王城に仮設のテントを張り、
滞在を続けていた。
「貴族社会の秩序を変える女王、だそうだが……」
「そんな理想主義、三ヶ月も持つかね。」
そんな皮肉が飛び交う一方で、
王国の政治改革が静かに進んでいく。
スカイは地図を覗き込みながら呟く。
「……外が動き出す前に、
こちらが動かなきゃまずい。」
そこにエリアスが入ってくる。
今日は珍しく目の下に隈があった。
「外交交渉、進まないの。王の娘というより、
若い“女”として見られている気がする。」
「縁談の件、また出てますね。」
「……五件目よ。」
彼女は苦笑した。
スカイはしばらく黙っていたが、
ふと顔を上げて言った。
「なら、根本から変えましょう。
価値を“結婚”じゃなく、“連携”で証明する。」
「どういうこと?」
「国を繋ぐ会議、サミットを開くんです。この世界初の、各国代表が“対等”で話し合う場所を。」
エリアスは目を丸くした。
「……それ、夢のようね。」
スカイはニヤリと笑った。
「夢だからこそ叶える価値がある。」




