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第93話 祝辞と噂
エリアスが王国の次期国王に指名されてから一月――。
王都は、まるで春祭りのように沸き立っていた。
通りには各国の使節が行き交い、
異国の言葉が飛び交う。
「ほう、これが“繋がりの女王”の国か。」
「女王エリアスと、その側近スカイ
――民から王になった奇跡の物語だ。」
露天の商人が酒を力強く注ぎながら笑う。
「いいじゃねぇか。前の王政の時より、みんな明るい!」
だがその裏で、密やかな声もあった。
「スラム育ちの男が王女の隣か……」
「王位を狙ってるんじゃ?」
エリアスはその噂を耳にしても、
笑顔を崩さず人前に立った。
“理想を実現する者は、必ず誤解される。”
それを知っているのは、誰よりもスカイだった。
「エリアス、笑いすぎだと疲れますよ。」
「ふふ、でもね、笑っていたら皆が少しでも安心するでしょう?」
「……あなたらしい。」
スカイは窓の外を見た。
王都の空には、世界中の旗がはためいていた。




