第92話 新女王、お披露目
式典が終わり、エリアスは玉座の間の扉の前に立った。
フィートがエスコートの手を差し出す。
「陛下、民へのお披露目を。」
しかし、エリアスはそっと笑って首を振る。
「ごめんなさい、フィート。先約があるの。」
広間の隅に立つ青年――スカイ。
「スカイ、私を王宮の外へ案内して。
今度は、あなたと共に歩きたい。」
エリアスは微笑みながらスカイへ右手を差し出す。
どよめく臣下たち。
しかしフィートは笑って納得し、スカイの側に戻ると、右手で叩くようにスカイの背を押した。
スカイは一歩前に出されると、
照れながらエリアスの前に立ち、
右手を胸に当てて深く一礼した。
「喜んで、努めさせて頂きます。」
スカイはエリアスの白い手を取り、
王宮の門の前までまるでヴァージンロードを
歩くように2人で歩いた。
その間にスカイはエリアスの顔を見た。
その時のエリアスの顔は何か満たされたような
幸せそうな表情をしていた。
そして、荘厳な王宮の扉の前に立つ。
「開門!」
門番の号令と共に、扉がゆっくりと開いた。
やがてエリアスの姿が見えると大きな歓声が挙がった。
地平一面に満ちる民衆の声。
「エリアス新女王万歳!」
「エリアス新女王万歳!」
「エリアス新女王万歳!」
「ディア・マイ・クイーン!」
エリアスは微笑んで応え、スカイに囁いた。
「この国は、やっと始まったばかりだね。」
「ええ。あなたと共に創る“新しい秩序”は、今日から動き出す。」
人々の歓声が空を染め、王宮の塔に新しい旗が掲げられた。
金をあしらった白の旗。中央には一本の繋がる輪――“協力の印”。
王国は新たな歴史を刻み始めたのだった。




