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第88話 エリアスに跪く列
クラウディス王は椅子から立ち上がり、深く目を伏せた。
「……この国は、すでに動いているのか。」
大臣と騎士団の重鎮たちは互いに頷き合い、ゆっくりとエリアスの前に歩み出た。
そして一列に並び、片膝をついた。
「私どもは、エリアス殿下の御心に従う所存です。」
「この国に必要なのは、血ではなく信条だ。」
ゼストールが叫ぶ。
「ふざけるなっ! 貴様ら、誰の許しを得た!?」
クラウディス王が杖を叩き、低く怒鳴る。
「黙れ、ゼストール!」
扉の外から群衆の波動のような歓声。
「エリアス新王万歳!」
「我らが女王よ!」
クラウディス王は深く息を吐き、玉座を見上げた。
「エリアス・エニーフィート。
そなたの“思想”“影響力”“問題解決力”、
余はしかと見届けた。」
クラウディス王の目に映るエリアスに、その母ルイーダの姿が重なった。




