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第85話 追求
「ふざけるなぁッ!」
ゼストールが怒鳴り、紙束を奪い取る。
「これは捏造だ! 卑しい陰謀者どもの戯言だ!」
「証人も、物証もある。」
スカイは冷ややかに言い返す。
「隣国とのやり取りの記録も、取引金の流れもこの通りです。」
大臣たちが顔を見合わせる。
クラウディス王は低く言い放った。
「……ゼストール。もはや言い逃れはできまい。」
「黙れぇ! 貴様ら全員、低き者どもの反逆者だ!」
ゼストールの声が裏返る。
スカイが怒鳴った。
「それが王を目指す者の言葉か!」
だがエリアスは一歩前に進み、静かな声で告げた。
「往生際が悪いわね、ゼストール。」
彼女の声は冷えた刃のように鋭く響いた。
「あなたは民を盾にして戦いを偽り、敗北しても王座にすがっている。
王とはそうあるべき存在じゃない。」
「黙れ!」
ゼストールが吐き捨てる。
「お前たちの勝利など偶然だ! 数値が低い者が束になって勝てるわけがない!」
スカイが淡々と一言。
「でも、その“偶然”の前で負けたのはあなたです。」




