第83話 玉座の前で
王宮の長い回廊を二人の足音が響く。
金細工の柱と、陽を受けて輝く壁画。
そのすべてが一歩ごとに圧力のように迫った。
エリアスはスカイを見て言った。
「スカイ、緊張してる?」
「そりゃしますよ。今日ここで何を話すかで、国が動くんだから。」
王国守護騎士団の全面協力を取り付けるため、二人は現国王クラウディスの玉座へ向かっていた。
門前の近衛が声を張る。
「次期王候補、エリアス殿下、入室!」
重い扉が開くと、中には既にもう一人の候補――ゼストールがいた。
「来たか、野良犬どもが。」
冷ややかな笑いが広間を走る。
玉座の上、クラウディス王は表情を崩さず問う。
「ゼストール、王国守護騎士団の全権を渡せと言ったな?」
「はい。魔物の第二波、必ず私が殲滅してみせます!」
「……しかし、聞いたぞ。貴様の軍は瓦解し、多くの民を犠牲にしたと。」
広間の片隅でため息が漏れた。
ゼストールは顔を赤くし、唾を飛ばして叫ぶ。
「運が悪かっただけです! 次は違う! この数値に愛された私が正真正銘、真の勝利を見せましょう!」
「頭の中まで数しかないのかよ。」
スカイがつぶやく。
その声にゼストールが睨みつけた。
「黙れ! 貴様のような下民が、王の間で言葉を発する許しを得たつもりか!」
「その口、もう止めた方がいいですよ。」
スカイの声に、玉座の間が静まり返った。




