第78話 義勇軍、集結
南門前の広場。霧の向こうに人々の列。
鍬や木槌を武器代わりに握る農民、古ぼけた鎧を着た退役兵、かつてスラムにいた労働者。
皆が震える手で槍を握っていた。
「……これが、義勇軍?」
エリアスが息を呑む。
「そうだ。」
スカイが頷く。
「彼らは恐怖で逃げることもできた。でも、“誰かを守りたい”って残ったんだ。」
義勇軍が、エリアスに向かって声を上げた。
「エリアス様!」
「あなたの言葉で俺たちはここに来ました!」
若者たちが声を上げる。
「数なんていらねえ! 俺たちの価値は“仲間を守る力”だ!」
エリアスの目に涙があふれた。
「……ありがとう。」
スカイが静かに言う。
「さぁ、皆がエリアスの言葉を待ってる。」
エリアスは馬にまたがり、
王旗を高く掲げて喉の限りに叫んだ。
「私のために集った勇気に、心から感謝します!
これから行く先は死地です! でも覚えてください――
“国のため”ではなく、“愛する人のため”に戦ってください!」
その言葉に誰かが叫んだ。
「俺は家族のために剣を握る!」
「俺は隣で笑った友を守る!」
「エリアス様と共に!」
オオォォォォォォオオオ!!!!
嵐のような歓声が広場を覆った。
義勇軍の誕生だった。




