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第76話 王の決断
王城の会議室。
将軍たちが血走った顔で怒鳴り合っていた。
「総大将はゼストール様に!」
「いや、エリアス殿下こそ正しき希望の象徴だ!」
議場の端で兵士たちがざわめく。
クラウディス王は沈黙していたが、やがて立ち上がると杖を鳴らした。
「静まれ。」
その声は老いてなお雷のごとく響いた。
「よく聞け。誰がこの国の指揮を執るに相応しいか……それを決めるのはこの戦だ。」
「それはっ、・・・お言葉の意味は!?」
「魔物討伐を果たした者を、次期国王とする。」
議場が凍りついた。
報を受け取ったゼストール陣営では、将官たちが歓声を上げていた。
「ついに好機だ!」
「総兵力一万五千! 勝利は我々のものだ!」
ゼストールは笑みを浮かべる。
「ならば俺が王冠を奪い、神を現世に呼び戻す。」
エリアスは報告書を握り潰すように丸めた。
「出遅れた……!」
スカイが静かに答える。
「焦るな。奴が動くたび、必ず歪みが出る。その隙を突く。」




