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第74話 混乱の報せ
王都の空を裂くように鐘が鳴り響いた。
「魔物だ! 南から魔物の群れが押し寄せてくるぞ!」
市場の商人が悲鳴を上げ、野菜を投げ出して逃げる。
子どもを抱えた母親が泣きながら叫んだ。
「助けてくれ! もう終わりだ!」
「神はどこにいるんだ!」
屋台を蹴り散らして馬車が暴走し、門へ殺到する人々が軍に押し返される。
「落ち着け! 城門は閉める! 避難所へ行け!」
兵士たちの怒号も、恐怖に掻き消された。
こちらは解決屋の本部。
フィートが息を切らして飛び込む。
「報告します! 南方の警戒線が突破された! 数は……二万!」
「二万!?……そんな数、聞いたこともない。」
スカイが呟く。
エリアスは蒼ざめた顔で、窓の向こうに広がる人々の混乱を見つめた。
「この惨状……恐怖が形になってる。」
スカイが拳を握る。
「行こう。混乱の中で誰かが“希望”を叫ばなきゃ、国は壊れる。」
そしてその時、広場から別の“叫び”が響いた
――。




