73/92
第73話 魔物の影
疫病の収束と同時に、国境から黒煙が上がった。
報告を受けたスカイは地図を見つめる。
「魔物の異常繁殖……自然現象じゃない。」
エリアスが震える声で言う。
「ゼストールが、また……?」
スカイは頷いた。
「多分、今回の“次の一手”だ。知識と力の、最終戦になる。」
彼は拳を握る。
「正義ってのは、語るものじゃない。“知って、選び、行動する”ものだ。」
エリアスはその手をそっと握り返した。
「じゃあ……あなたと共に、最後まで知ってみせるわ。」
夜空で稲光が走る。
王都の運命を決める、最後の年が始まろうとしていた。




