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第67話 疫病の影
フィートは震える唇で告げた。
「ゼストールたちは……疫病をばら撒こうとしています。」
「そんな……っ!!」
エリアスの声が凍る。
フィートは続けた。
「隣国から病原体を裏取引し、すでに自軍には抗体を接種済み。
王国全土を感染させ、“救済”を口実に支配を完成させる腹積もりです。」
最悪のマッチポンプだった。
ダンッ!!
スカイの拳が机を叩いた。
「それが……奴らの“問題解決力”ってわけかよ。」
エリアスは震える手を押さえ、怒りをこらえた。
「国を、人を、数字で焼くつもり……!!」
フィートは視線を上げる。
「命に代えてもサンプルを持ってきます。真実を暴くために。」
「危険だぞ。」
「あなた様の母ルイーダの教えに誓います。“恐れより、正しきことを”と。」
スカイとエリアスはその背を見送った。




