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第60話 影速く
玉座を下りて数日後、スカイのもとに報告が入る。
「スカイ! ゼストールが、選挙で落ちた王族全員を自分の陣営に取り込んでる!」
情報屋の少年が息を切らせて叫ぶ。
「……早いな。」
スカイの言葉にエリアスが腕を組む。
「つまり、選挙前から根回しをしていたのね。」
「舌を出して笑ってた奴だ。計画も周到だろう。」
ルークが机を叩く。
「だったらこっちも先手打とうぜ!」
スカイは首を振る。
「焦るな。彼らが仕掛けてくる時、必ず“隙”を見せる。」
「……いつものスカイの“あの目”だわ。」
とラティアが微笑む。
エリアスはその顔に安心しながらも、
胸騒ぎを感じていた。
この一年が、彼女にとっても決して穏やかでは済まない――そんな予感だった。




