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第55話 スカイの言葉
続いてスカイが壇上に立つ。
「……みなさん。僕はスラム出身です。生まれた時から家も家族もなく、人のゴミと蔑まれてきました。」
ざわめきが広がる。
「でも今日、そんな僕は王女殿下と共にここに立っている。なぜだと思いますか?」
スカイの瞳が観衆を射抜く。
「誰か私のことを信じてくれたからです!」
会場が静まり返る。
「僕は知っています。
この国には“信じる力”が眠ってる。
数値では測れない希望が、皆の心にある。」
拍手が一人、また一人と重なっていく。
その熱気は、午前の宗教的な演説を凌駕していた。




