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第51話 演説訓練
スカイはエリアスに演説のコツを教えていた。
「違う、エリアス。その言葉のあと、少し黙ってから微笑むんだ。」
王女は頬を赤らめ、息を整える。
「……そんなの、恥ずかしいわよ。」
「恥ずかしいくらいがちょうどいいんです。
誠実さを出せば人は本音を聴く。」
「本音、ね。」
彼女は深呼吸し、もう一度繰り返した。
“私はこの国を、誰も取り残さない世界にしたい――。”
その声は柔らかく、しかし確かに力を持っていた。
スカイは拍手する。
「今のなら、誰にだって届く。」
「ふふ、師匠のおかげね。」
「弟子が良いと先生もうれしいですよ。」
二人の笑い声に、ルークが小声でぼやいた。
「おまえら夫婦みたいだぞ。」
真っ赤になるエリアス。スカイは困ったように笑う。




