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第50話 ゼストールという男
選挙前夜。
ガラスの塔のように輝く貴族会館。
その壇上で、ひとりの男が静かに立っていた。
ゼストール・バレスタイン。
青く輝く瞳――純血の“視数者”の証。
「国は数値によって秩序を保つ!」
鋭い声が会場を震わせた。
「数は神の言葉であり、平民がそれを疑うなど傲慢の極み!」
貴族が一斉に称賛の拍手を送る。
その傍らに、数値教の導師マリディアンが立つ。
「ゼストール様こそ、我らの導き手。真理に従い、下位の者を救済する王。」
儀礼のように響くその言葉に、
スカイは背筋に冷たいものを感じた。
「……洗脳と支配を“正義”に変えたわけか。」
エリアスが小さく笑む。
「なら、私たちは“希望”で戦うのね。」
「ああ、理屈より心で。」
二人の手が重なり合った瞬間、戦いが始まった。




