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第48話 次期国王候補の宣告
翌朝、王宮に緊張が走った。
「国王陛下が、次期王を御前で指名なさる!」謁見の間に集まる王族や貴族たち。
クラウディス王が自らの杖を鳴らす。
「余は老い、そしてこの国も変革を求めておる。ゆえに――新たなる後継を立てよう。」
ざわめきが広がる。
「候補者は五名。」
羊皮紙が読み上げられる中、ひときわ周囲がざわついた。
「第3王女、エリアス・エニーフィート。」
会場の空気が凍る。
誰もがその名を予想していなかった。
彼女はスラム支援の奇行姫とさえ呼ばれていたのだから。
王は続けた。
「だが決めるのは“数”ではない。二段階で行う。
第一に国民の投票、第二に私への直接の説得――すなわち、この国への“提案”だ。」
貴族たちは目を疑った。
王が……数値以外で決めようとしている?
その日、王国に新たな火種が生まれた。




