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第3話 秘密のはじまり
“夢tube”のことは誰にも話せない。
このスラムでは珍しいことをするだけで、
たちまち疑われる。
水をろ過する装置を見た子どもたちは驚きながらも、口々に言った。
「お前、魔法使いなのか?」
「それ、売れるんじゃねえか?」
スカイはごまかした。
「ただの思いつきだよ。偶然、上手くいっただけ」
夜になると彼は再び目を閉じる。
今度は「古い服の補修方法」や
「野草の調理法」を検索。
夢の中で見る動画はどれも懐かしいのに、
新鮮だった。
彼の生活は少しずつ変わっていく。
日に日に健康的になり、表情にも明るさが戻った。
しかし同時に、周囲からの視線も変わっていった。
「スカイ、最近何か企んでるんじゃないか?」
「へぇ、調子がいいねぇ。
どこからそんな知恵が出た?」
スカイは黙って笑うしかなかった。
夢tubeは、自分だけの明日を変える武器
――秘密の力だった。




