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第26話 満月の夜
その夜は満月だった。
スカイが資料を整理していると、市長ガラルドがふいに声をかけた。
「君にも、いずれ見える日が来るかもしれんな。」
「見える? 何がですか?」
するとガラルドの瞳が、青く光っていた。
そして、スカイはその光景が信じられない。
――ガラルドは帰宅する職員を窓から見て言った。
「・・・なるほど、あの職員は前回より35上がっているな」
「……それ、もしかして……!」
ガラルドは静かに頷く。
「そうだ。この国の貴族や王族、特権階級の人間は、全て“数値視”を持つ一族の末裔。人の価値を数字で見分ける力だ。」
「そんな……!」
ガラルドの声に重みがあった。
「私も、この常識を疑ったことがある。しかし、疑う者ほど早く消えるのが今のこの世界の現実なのだ。」
スカイは唇を噛みしめた。
満月の光は、静かに彼の決意を照らしていた。




