最終話 繋ぐ未来
王宮大聖堂。
ステンドグラスから七色の光が降り注ぎ、
荘厳なパイプオルガンが静かに響く。
ヴァージンロードの両脇には、
各国大使、王国騎士団、解決屋メンバー、
祝福の群衆が並ぶ。
扉の前でスカイが白タキシードでゴクリと唾を飲む。
「オレ、足震えてるんだけど……」
隣のエリアスは純白のウェディングドレスで微笑む。
「私だって、心臓飛び出しそうよ。
でも――一緒に歩きましょう?」
扉がゆっくり開く。オルガンが高らかに響き、
二人がヴァージンロードへ。
フィートが前方で、涙目で見守る。
「スカイ殿……エリアス陛下……
ここまで長かった……。」
群衆が息を呑む。
クラウディス王も、エリアスの母を思い出しながら微笑む。
(空から見ておるか?ルイーダよ。
お前の娘の晴れ姿、見事なものだ……。
そして婿殿も、私とは違う未来を築けるだろう。)
祭壇前。神官が厳かにスカイの方を見る。
「スカイ。あなたは此の娘、
エリアス・フォン・エニーフィートを妻とし、
健やかなるときも病めるときも、数値の評価なく、絆を以て永遠に愛すことを誓うか?」
スカイ、エリアスの手を握り、真っ直ぐ。
「はい、誓います。
どんな未来でも、一緒に繋いで生きます。」
神官は頷いて、エリアスの方を見た。
「エリアス。あなたは此の者、スカイを夫とし、
栄えあるときも試練のときも、
数値を越えた心で永遠に愛すことを誓うか?」
エリアス瞳潤ませ、
「はい、誓います。スカイとなら、
どんな世界も変えられるから。」
神官は頷いて前を向き、声を張った。
「では――夫婦の証を今ここに!」
二人が見つめ合い、そっと唇重ねる。
その瞬間、群衆から拍手雷鳴。
ワアアァァァァ……!!
「エリアス陛下〜!スカイ様〜!おめでとう!!」
「御二人の未来に祝福あれ!!」
「王国万歳!!女王陛下万歳!!」
「いつまでもお幸せに〜っ!!!」
◇披露宴。笑い声とグラスの音が響く中、
各国の代表達から祝福の言葉と
ご祝儀と記念品が贈られた。
スカイとエリアスは二人揃って挨拶回りに
忙しく、嬉しい悲鳴をあげていた。
やがてケーキカットをし、二人の馴れ初め話が行われた。その特別ゲストに呼ばれたのは、
あの市長のガラルドだった。
どうやら、解決屋の初期メンバーがフィートに掛け合って実現させたサプライズだったらしい。
これにはスカイとエリアスは驚いた。
そしてガラルドから二人の出会いを語り始めた。
「エリアス陛下、そしてスカイ。
ご結婚おめでとうございます。
初めて御二人があの廊下で出会ったときは、まるで世界の歴史が変わる瞬間に立ち会ったような不思議な高揚感がありました。
それが今、この様な形で再会できて大変光栄の極みでございます。
そしてスカイ、あの時言った「世界を変える」。
それを本当に実現したお前を誇らしく思う。
これからはエリアス陛下と共にお前の思う
ようにやってみろ。きっとその夢をいろんな
人が繋がって実現できるだろう。」
ガラルドの言葉に、スカイとエリアスから
嬉しい涙が流れた。
そして、次期国王選挙の話からはフィートが
代わって説明した。
ガラルドとフィートから二人の馴れ初めを
聞いたスカイとエリアスは照れながらも
自然と手を握っていた。
やがて二人の馴れ初めが終わると、
大きな拍手が起きた。
中にはスカイとエリアスの馴れ初めを、
歌や本、さらには劇にして残したいなんて
話も出てきたほどだ。
そしてブーケトス。
エリアスがブーケ持ち立ち上がる。
「皆さん! 次は幸せを掴みたい方へ!」
エリアスは後ろを向き、
「せーのっ!」でブーケ投擲!
婚期を逃しそうな令嬢たちは群がった。
「きゃあ!」
「私がいただくわ!」
「女王陛下のブーケよっ!!絶対ご利益あるでしょっ!!」
「私だってイイ殿方がほし〜いっ!!」
と修羅場状態。
だが――ブーケは渦の外へ。
隅に避難してたフィートの頭上へポトリ。
「――はえっ!?」
周囲は笑いに包まれた。
「フィート様、おめでとう!!」
「次はお前だ!!」
フィートは真っ赤になって、
「ち、違います! 僕狙ってませんよ!?
返しますからね!?」
スカイは爆笑。
「ハハハっ!!良かったじゃねえか、フィート!」
エリアスもクスクスと、
「ふふ、次はフィートの番ね♡」
披露宴も終わった夜。新婚のリビング。
柔らかな灯りに照らされ、二人がソファに
並んで座る。
スカイはネクタイを緩め、
「あ〜疲れたな……でも、幸せな疲れって
こういうのかもな。」
エリアスはスカイに寄り添い、
「ねえ、スカイ。これからの未来……
どんな風になるかしら?」
「そうだな。王都は観光客で賑わって、
数値贔屓じゃない新しい学校ができる。
解決屋は相変わらず各国とつながって……
平和な世界さ。」
エリアスは微笑み、
「あなたとなら、きっと叶うわ。
私、あなたの隣でずっと遠慮なく言いながら
支えるから。」
スカイ照れ笑い
「頼もしいな。
……転んだら、一緒に起き上がってくれよ。」
「当たり前でしょ♡」
エリアスはウインクを飛ばした。
寝る準備をしようと二人で寝室に向かう時、
不意にエリアスがスカイに向かって悪戯っぽく、
「ねえ、スカイ。結局、あの“ルイーダ母様の最後の約束”って……何だったの?」
スカイは「ぶっ!?」とソファの上でむせながら。
「い、いや、その……まだその話かよ!」
「だって! 結婚するまでは待ってって言うから、
我慢したのよ!? もう我慢できない!
教えて、ねえスカイ!!」
エリアスがソファの上から膝立ちでスカイの胸を
ぐいっと押す。スカイは耳まで真っ赤になった。
「近い近い! 顔近いって! ……分かったよ、分かった! 笑うなよ? 絶対笑うな!」
スカイは覚悟を決め、深呼吸、そして天井を見上げて、
「ルイーダさんがさ……最後に、こう言ったんだ。
私に感謝するなら、責任取って私の孫を沢山
エリアスと……作りなさいって……。」
スカイ両手で顔覆う。
「……って、めっちゃ顔赤くしてるな。」
エリアス――フリーズ。
頬がりんごのようにポポポポポと赤くなる。
スカイは恐る恐るエリアスの顔を覗き、
「引いただろ! 絶対引いただろ!」
しかし、よく見るとエリアスの目がキラキラし、
両手でスカイの手を握り、
「違うの……! すごく、すごく嬉しい……!スカイっ!! その約束、今夜から叶えましょうっ!!」
「こ、今夜!? おいエリアス、落ち着けって!
別に急ぐ必要はねえだろ!?」
しかしエリアスはスカイのツッコミもお構いなしに妄想を膨らませ、
「スカイと私の赤ちゃん……目はやさしい青?
髪は金色?あっ、でもスカイみたく茶色でもエキゾチックでいいかもっ!!
10人家族になったらきっと賑やかで――」
「ちょっと待てぇ!! 何人産む気だよ!!
エリアス、お前酔ってんのか!?」
エリアスはスカイ胸に飛び込み、
「何人でもっ!! スカイの赤ちゃん、
何人でも欲しいのぉ!!」
そのままスカイの唇を強引に奪う。
「んむっ!?」熱いキス。
そのままソファに倒れ込む。
エリアスはスカイの手を引いて立ち上がり。
「行きましょ、スカイ。母様との約束、
果たさなくちゃ♡」
「ま、待てって! せめて心の――」
「だーめ。新婚初夜なんだから♡」
そして寝室へ。スカイは手を引かれ、
赤面しながらついていく。
カチリ。
と寝室のドアが閉まる。
外の世界はまだ傷跡を抱えている。
けれど、この小さな部屋の中では――。
母の願いも、絆の結晶も、数値などという古い枷も超えた。
誰よりも優しい“未来”が、今、始まる――。
異世界転生してもスラムの孤児だったオレは
夢tubeで解決屋を開いて成り上がる
― 完 ―




