表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/146

第133話 白旗の女王と銃口の嘲笑




王宮の巨大な扉前。重厚な鉄の扉が、

エリアスの運命を隔てる最後の関門だった。




門番の老騎士は、額に汗を浮かべ、震える声で尋ねる。


「陛下……本当に、いいんですか? 

私たちが……!」


周囲の兵士たちも息を詰め、エリアスを見つめる。





メイドの一人がハンカチを握りしめ、涙ぐむ。


「お、お願いです陛下……行かないで……!」




エリアスは静かに、しかし毅然と頷く。


「開けてください。これは、私の命令です。」



ゴゴゴゴゴゴ……!! 



重々しい音が響き、王宮の扉がゆっくり開く。



外に広がるのは、王宮から広場への一本道と

王都中央広場――煙と血の臭いが立ち込め、

ゼストール軍と王国守護騎士団・義勇軍の連合部隊が睨み合う膠着状態だった。



広場は不気味な空きスペースができ、

中央に黒い軍馬から降りたゼストールが仁王立ち。


高性能狙撃銃を構え、冷たい笑みを浮かべる。

その銃口は、すでにエリアスを捉えていた。




「ようこそ、エリアス。遅かったな。」




王国兵士たちの間に緊張が走る。


「陛下……!」「奴の銃が……!」


義勇軍の男が拳を握りしめ、悔しげに呻く。



前線で睨み合っていた一人の義勇軍兵士が

痺れを切らして思わず立ち上がり叫ぶ。


「降伏受け入れの話し合いに応じるなら、

武器を降ろせゼストール!!」



バァァン!!



乾いた銃声が広場を切り裂く。




狙撃銃の弾丸が義勇軍兵士の腹を貫通。


「ぐあぁぁああっっ!!」



鎧を突き破り、血が噴き出す。


兵士は苦悶の表情で倒れ込み、仲間たちが駆け寄る。


「おい、大丈夫か!?」


「くそっ、ゼストールめ!!」




エリアスは悲鳴にも似た声で叫ぶ。


「やめてっ!! お願い、撃たないで!!」





ゼストールは鼻で笑い、銃を構え直す。


「降伏する分際が、誰に口を聞いている!? 

低数値のクズどもが。」



次弾を装填し、エリアスを睨む。



「オイ、エリアス!! この躾のなってない連中に、何もするなと命じろっ!!」



エリアスの胸が引き裂かれる思い。だが、

ゆっくり頷き、拡声魔法で全軍に響かせる。


「全軍、私が交渉を終えるまで一切手を出すなっ!! 

これは……命令です!!」




王国兵士たちは悔しそうな表情を浮かべ、

歯を食いしばる。


「陛下……」


「くそっ、こんな……!」




臨戦態勢を維持しつつ、拳を震わせる。

義勇軍の男が地面を叩き、



「陛下の犠牲で……!」と呻く。



エリアスはゆっくりゼストールの元へ歩み寄ろうとする。


――その瞬間。バァァン!!

再び銃声。


弾丸がエリアスの足元左外側に着弾し、

地面に弾痕を刻む。小さな土煙が上がる。



王国兵士たちが一斉に叫ぶ。


「陛下っ!!」「下がってください!!」



エリアスは慌てず、右掌を開いて突き出し、暗黙の「待て」の命令。



兵士たちは渋々従うが、目には涙が浮かぶ。


「陛下……!」



ゼストールは喉を鳴らして嘲笑。

そして銃の狙撃鏡でエリアスを見ながら、


「降伏すると言っておきながら、

武器を持っているのは頂けないなぁ。

低数値女王よ。」



唇の左端を吊り上げる。




エリアスはゼストールに向き直り、静かに言う。


「慌てるな。今ここで捨てていく!!」





護身用の剣を鞘ごと体から外し、

ゼストールに見せるように右へ投げ捨てる。



カラン……と金属音が響く。

そして剣は無造作に王宮入り口に置かれた。



兵士たちの間に嗚咽が漏れる。



「陛下の剣が……!」「そんな……!」




ゼストールを確認し、満足げに頷く。


「よし、ならこちらに向かいながら防具を外して捨てろ!! 

そしてお前等はここまでの道を開けろ!!」



王国兵たちは恐る恐るエリアスを見る。


エリアスは無言で頷く。




その視線に、兵士たちは涙を堪え、


まるでモーゼの海のように左右に分かれる。


ゼストールへの道が開く。





エリアスは一本道を歩きながら、


胸当てを外し、地面に落とす。


腕防具を脱ぎ、捨てる。


肩当てを放り、素顔を晒しながら、


ゆっくりゼストールへ歩む。





一歩ごとに、兵士たちの心が引き裂かれる。


「陛下……行かないで……」


「私たちが戦います!」




ゼストールの笑みが深まる。


「いいぞ、エリアス。完璧な降伏だ。

数値の高さが、全てを証明する……!」





広場の空気が、絶望と覚悟の渦に包まれる。

エリアスの足音だけが、静かに響いていた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ