第121話 鉄の津波と絶対防衛線
ゼストール軍は鉄の津波となって王国内に広がった。
重装騎兵が街路を踏み砕き、戦斧兵が家屋を破壊、魔導砲が炎を吐く。
「ぎゃあああ!」
民の悲鳴が上がり、煙が立ち込める。
騎士団と義勇軍の混成部隊が必死に対抗。
「食らえ!」
槍が騎兵を貫くが、数に押されジリジリ後退。
「陛下、劣勢です!」
報告が作戦室に舞い込む。
「東区陥落寸前!」
「西区民間人被害拡大!」
エリアスは地図を睨む。
「敵は南門から東門・西門へ広がり、王都へ詰め寄る戦略か……
王国全体を火の海にし、圧倒的勝利を演出したいのね。」
参謀が震える声で。
「陛下、撤退を……!」
「戦線を下げろ! 王都を中心とした周囲5キロ圏内を絶対防衛線に位置づけ!
防御陣形を構築せよ!」
兵士たちが動き、王都周囲にバリケードを築く。
バリスタが敵を落とし、弓兵が矢を雨のように降らす。
「撃て! 撃ちまくれ!」
一時、敵の進撃が止まる。
しかし、エリアスは最悪を考える。
(女・子供を北門から国外へ脱出させる……それしか……)
「北門の準備を! 非戦闘員優先で国外へ!」
偵察兵が血まみれで戻る。
「陛下、北門外の森に……
魔物と野盗の大群が潜んでいます! 伏兵です!」
作戦室が凍りつく。
「ゼストールめ……完全にこちらの性格を読んでいたな!」
エリアスは唇を噛む。
(北門を手薄にし、逃げ道を塞ぐ……悪辣だ……!)
王国は追い詰められていた。




