第116話 スカイの本音
沈黙。
スカイの喉が上下し、拳が震えた。
「……どうしたいか、なんて。」
「答えなさい。自分の言葉で。」
スカイは歯を食いしばり、
叫ぶように吐き出した。
「そんなの……決まってるだろっ!!
オレだって側にいたいんだ!
どんな状況でも、支えたい!
例えオレに力が無くても、一緒に夢を叶えたい!
オレの隣で、エリアスに笑ってほしいんだ!」
ルイーダの目が優しく細まる。
「それはどうして?」
スカイは首を上げた。
涙が頬を伝い落ちる。
「――エリアスを……、
世界で一番、愛してるからだ!
オレの人生で一番大切な人だからだよ!
絶対に幸せにしたいんだ!」
スカイの言葉を聞き、
ルイーダは満足そうに微笑み、
胸の前でパンっと手を合わせた。
「よしっ。それでいいわ。
その気持ちを、ちゃんと本人に伝えなさい。」
スカイは下を向く。
「……でも、俺は今――」
「意識が戻らなくても、
伝える方法はいくらでもあるわ。
それに……」
ルイーダの瞳が輝き、
冷却ファンの駆動音の音が強く大きくなる。
そしてルイーダの頭の中に、
現実世界の映像が浮かぶ。
王国の軍会議室、
エリアスが部下に指示を飛ばしている姿。
「彼女は今、泣きながらも立ち続けてる。
あなたの夢を繋ぐために。」
スカイは息を呑む。
「……わかるのか、あっちの様子が。」
「今の私の存在は実験的にとはいえ、
あなたのサポート。
あちらに起きている問題については、
私が実況してあなたがこの空間を利用して
解決策を見つけ出す。
それができたらあなたは目覚めることができるわ。」
ルイーダはそっとスカイの手を握った。
「あの子を守る力は、知識じゃなく“言葉”よ。
本気の想いは、必ず届く。だから今度こそ、
逃げないでエリアスと向き合って。」
スカイは涙を拭い、目を閉じた。
「ありがとう、ルイーダさん。」
「いいの。あの子をお願い。」




