第110話 悪意は終わらない
"とある地点でゼストールらしき人物が目撃された。"
その報告書を見つめながら、エリアスの指先が震えた。
「……ゼストール。」
参謀官が頭を下げる。
「陛下、これが各国で捕縛した
数値教徒への指示書です。
全ての矛先は貴方と……“王国連盟構想”に。」
エリアスは唇を噛み、両手で報告書を握った。
「こんな……こんなことの為に……
スカイは撃たれたの!?」
「……陛下。」
「母の時と何も変わっていない!
あの時も“数”が命の価値を奪った!」
崩れそうになる膝を、彼女は必死に支えた。
「もう二度と……誰も奪わせない!」
彼女は通信を繋ぎ、各大使館へ叫んだ。
「各国! 数値教を分断撃破する!
自国軍と協力を。
解決屋は情報収集と伝令を担当、
後方支援体制を整えて!」
すぐに通信が返る。
「了解!」
「王国に続け!」
皆の声を聞きながらも、エリアスの心は泣いていた。
(スカイ……あなたのいない未来なんて、
どうしてこんなに苦しいの……。)
そのエリアスの背後を、
誰かが物陰から見つめていた。
そしてそれはとある人物の耳に届いた。
「エリアス・・・。」
そして夜が落ちていく。
世界は再び、血塗られた翌朝を迎えようと
していた。




