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尋ねた。母親が出てくる。
彼女は徳田を見ると、文字通り顔を青ざめた。
家の中に飛び込み、玄関の戸を閉めた。
「あのう……」
「帰ってください! お願いですからもうかかわらないで!」
金切声と言っていい声で叫んだ。
「もしもし、どうかしましたか」
「帰ってください! 帰ってください!」
そのあまりの剣幕に、徳田は彼女と話をすることを諦めた。
――でもどうしてあそこまで拒絶するのだろうか。
考えたが、分からなかった。
それにしてもあの態度は、とにかく異常だと思った。
数日ぶりに娘が学校に登校した。
しばらく休校だったのだ。
しかし通常の授業が開始された。
徳田はまだ早いと思ったが、家に閉じこもっているのも娘によくないかもと思い、心配ながらも送り出した。
学校の前には全国から集まった報道陣が集結していたのを、後に徳田はニュース映像で知った。
徳田にはそれが、まるで亡者の群れのように見えた。
――こんな時に……。
徳田には、日本中がこぞって娘の神経を逆なでしているように思えた。
――あいつらの頭が吹っ飛んだらいいのに。
徳田はそう思った。
そうしているうちにも、娘の誕生日が近づいて来る。
時は止まらない。
待ってもくれない。
そしてとうとう明日が誕生日となった。
「明日は学校を休め。俺も仕事を休むから。二人で家にいよう。どこにも出かけずに」
娘はしばらく徳田の顔を見ていたが、やがて小さくうなずいた。




