5
警察署で会った。
会話すら交わしてないが、泣きながら署内を歩く女を見ていると、同僚がそう教えてくれたのだ。
彼女は今でもわかりやすいほど悲しみに満ちた顔をしていた。
見ていると徳田に気づいた。
徳田の顔を怪訝そうな目で見た。
徳田は思わず頭を下げ、立ち去ろうとした。
すると女が声をかけてきた。
「あのうもしかして、さやかのことをご存じなのでは」
徳田は驚いたが返した。
「ええ、でもどうしてそう思ったのですか?」
「あなたを見て、なんとなく、ですが」
「そうですか」
「で、さやかとはどういった」
徳田はどうこたえようか迷ったが、言った。
「私は警察のもので、お嬢さんの検死をした者です」
「!」
いつのまにか喫茶店にいた。
最初の被害者の少女の母親と。
いろいろ聞かれた。
検死の様子だ。
実の母親に話してもいい内容とは思えないが、徳田は言葉を選びつつ答えた。
とはいえ母親も娘の死体は見ているはずだ。
目新しい情報はないのだが、それでも聞きたいのが母親なのだろう。
一通り話し終えると母親が言った。
「娘の死について、わからないことはありません。でもそのあとに死んだ娘さんは、どうなんでしょうか。どうしてあんなことになったんでしょうか」
本来なら答えるべきではないが、あの少女の母親なのだ。
徳田は言った。
「それが、一言で言うと、なにがどうなっているのか、よくわかっていないのです。いったいどうして、あんなことになったのか。誰がどうやったのかも」
母親はしばらく考えていたようだったが、やがて言いにくそうに言った。
「その女の子の死と、うちのさやかと、なにか関係があるのではないのでしょうか」
徳田は女が何を言っているのかよくわからなかった。
関係? いったいどんな?
少女が殺されたときは、さやかと言う少女はもう死んでいたのだ。
それがいったいどう関係するというのだ。




