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――えっ、どうして?
死んだ少女の右目が見開かれた。
明らかな動揺の色がそこにある。
「さやか。悔しかったのはわかる。あんな死に方をして。学校が終わったらみんなで誕生日パーティーをするはずだったのに。でもそれだからと言って、同じく誕生日を迎えた女の子を、殺していいはずがないわ」
「……」
半顔の少女の顔が苦痛にゆがむ。
母親が続ける。
「死んだ後もさやかの気配を感じていた。だからさやかはまだこの世にいると思った。そしてさやかを強く感じる時があった。そしてその時に女の子が死んだ。さやかと同じ死に方で。それでこれはさやかが関係しているのではないのか思った。だからさやかの気配をずっと追いかけていたのよ。それでここに来られたの」
「……」
「さやかが死んで、悲しみのあまり耐えられないと思った。もう死んでしまいたいとも思った。でもそのさやかが誰かを殺しているなんて思うと、私、もっと耐えられないわ」
「うううううううう、うわあああああああーーー―っ」
さやかが絶叫した。
その片目には涙が浮んでいた。
そして一言言った。
「お母さん、ごめんなさい」
そういうと、半顔の少女は消えた。
風景もゆっくりと戻った。
いつもの居間だ。
見ればさやかの母親が倒れこんで号泣していた。
事件は終わった。
犯人はもちろん逮捕できないが。
まさか「最初に死んだ少女が犯人です」と言った報告書を提出するわけにもいかない。
ただもう事件は終わったのだ。
世間はまだ騒がしいが。
そのうちにおとなしくなるだろう。




