10
そのまま何事もなかったが、もうすぐ午後と言うときに、それは突然起きた。
「ええっ?」
「なんだ、どうした?」
家の居間にいたはずだ。
それなのに周りが一瞬にして赤くなった。
下も上も、右も左も、前も後ろも赤く染まっていた。
気づけば一面真っ赤な空間に、二人で立っていたのだ。
「ここどこ?」
「いったいなんなんだ」
すると不意に現れた。
半顔の少女。覚えがある。
一番最初に死んだ少女だ。
切られた頭の半分を自分の手に持って。
少女は一つしかない目で、娘をじっと見ていた。
その目に宿るものは、殺意そのものだった。
――!
驚き見ていると、少女の横に何かが現れた。
――鉄板?
横になった状態だったので最初はよくわからなかったが、それはどうやら薄い鉄板だった。
目の前の少女の頭半分を切り裂いたあの鉄板のようだ。
「ひっ!」
娘は逃げようとして少し動いたが、そのまま固まってしまった。
徳田はとっさに娘の前に出ようとしたが、徳田も見えない力で押さえつけられて動けなくなってしまった。
鉄板が動き始める。
娘に向かって。ゆっくりと。
徳田は叫んだ。
「待て! 娘だけはやめろ。代わりにこの俺の命をくれてやる! だから娘を殺すな!」
半顔の少女は徳田を見た。
鉄板の動きが止まる。
しかし少女は再び娘を見た。
鉄板も動き始める。その時だ。
「やめなさい、さやか!」
声がした。
見れば半顔少女の母親がそこにいた。




