朝起きたら……
ガンガンガンガンガン!
「誰かー!」
静まり返った刑務所に、叫び声と食器を鉄格子に打ちつけるけたたましい音が響く。
叫び声を上げ食器を鉄格子に打ちつけてるのは俺なんだけど。
1週間前の朝起きたら、看守や他の独房に入れられてる仲間たちが次々と死んで行くのに気がつく。
看守も仲間たちも皆、胸を押さえるようにして息絶えた。
それが始まる数日前に娯楽室で流されていたニュースで伝えられていたように。
コロナの時と同じく、C国がまた細菌を流出させた事を知らせるニュース。
その病原菌は致死率が99.99パーセントの最悪な物。
救いは過去に人類は此の病原菌と何度か出会った事があるらしく、10000人に1人の割合でだが抗体を持っている者がいるとの事だった。
あの日の朝から1週間経っても生きているって事は、俺はその抗体持ちだったらしい。
でも……、でも……、あと1〜2週間以内に見つけてもらえないと俺もくたばる。
独房から出る術が無く、独房には食い物が無いのだ。
今現在、トイレの水を飲んで飢えをしのんでいる。
俺はまた食器を鉄格子に叩きつけ叫ぶ。
ガンガンガンガンガン!
「抗体持ちが此処にいるぞー! 出してくれー! 助けてくれー!」
俺は病原菌に感染してそれほど苦しまずに死んだ仲間たちや看守の事を羨ましく思いながら、食器を鉄格子に叩きつけ助けを求めて叫び続けた。