Part1:始まりの刻【編集中】
できるだけ初見でも分かるように努力してはおりますが、この物語の設定は「【輪廻転戦】:新人音楽隊には秘密があります」Chapter2終了地点のものを受け継いでいます。
【輪廻転戦】で設定を知りたい方はコチラ→ https://ncode.syosetu.com/n5106jd/ 。
とりあえず、輪廻転戦の大まかな設定。
・紅榴るな(中3女子)
主人公。東京に暮らす。とある音楽隊の小説執筆担当で「月光を弾丸に変える力」を持つ。
・銀狼黒羽(中3男子)
幼馴染。隣の家に住んでいるが、両親とも多忙なため、るなの家に入り浸っている。音楽隊の作曲担当で「月光を鎧に変える力」を持つ。
・満弦リン(中3男子)
るなや黒羽と3年ほどの付き合いを持つ友人。一人だけ名古屋住まい。音楽隊のボーカル担当で「月光を長刀に変える力」を持つ。
これは、【輪廻転戦】Chapter2の最後に分岐した、とある平行世界の物語。
***るな視点***
ある日の夕方、リンは自慢げに、彼の開発したものを見せてきた。
「見てみ、徹夜でこの人工知能を開発したんだ。既に人間が行う多くの作業を学んでね、次第に複雑な操作まで模倣できるようになってきたんだよ。」
「これを作ってたせいで編集作業が押しまくってるんじゃないのか...?」
「黒羽、これ以上は言わないお約束。それより、"怪異"のせいで、せっかくの"月光の力"の練習ができなくなっているんだろ?そこで、」
「"怪異"...か。先週俺らを襲ってきたあの...。」
「そ。だから、月光の力をVRの世界で練習出来たら、わざわざ外に出て危険を冒す必要がなくなる。」
るなと黒羽は、リンの言葉に興味を持った。リンのプログラムの成果を目の当たりにし、彼がどれほどの時間を費やしてこれを作り上げたのかを思い知ったのだ。
「命名権をあげるよ」とリンが言った時、るなはしばらく考えた末に、「アイ」と命名した。
アイはその後も進化を続け、ついには「月光を操る力」を引き出すためのVRMMOを開発した。リンは既にテストプレイを進めており、今日、ついにるなと黒羽もそのゲームに挑むことになった。
ゲームのスタート地点は、広大な月夜の草原だった。現実と見紛うほどに精緻なグラフィックに、るなは驚きを隠せなかった。足元の草を踏む感触、風が頬を撫でる冷たさまでが現実そのものだった。
しかし、ふと気が付くと、黒羽の姿がない。周りを見回しても、どこにも彼の黒い影は見当たらない。どころか、リンの姿すら消えていたのだ。
「黒羽?リン?どこ?」るなが声を上げても、応答はなかった。
その時、彼女の視界に突然、アイからのメッセージが浮かび上がった。「るなさん、黒羽さん、リンさん。お知らせがあります。どうやら、月光の力が干渉して、皆さんはバラバラの場所に転送されてしまいました。私からの一方的な通信は可能ですが、皆さん同士での通信はできないようです。」
「はあ?どういうこと?」るなは、アイに向かって声を張り上げた。
「これも月光の力が原因です。おそらく皆さんの特殊な力が、この世界のプログラムに干渉し、予期せぬ不具合を引き起こしたのでしょう。3人で協力して、なんとか合流し、この問題を解決するしかありません。」
目の前が真っ暗になるような気がしたが、立ち止まっているわけにはいかない。るなは深く息を吸い込み、決意を新たにした。どんな困難が待ち受けていようとも、黒羽とリンを見つけ出し、このゲームの不具合を解消するしかない。
るなは足元を見つめた。彼女の能力である「月光を弾丸に変える力」が、この世界ではどのように機能するのかは分からない。しかし、これまでどんな戦いも乗り越えてきた彼女にとって、力を試すのは今に始まったことではない。
次の瞬間、月光が彼女の手元に集まり、輝く弾丸となって彼女の周囲を包み込んだ。これを使い、ゲーム内のモンスターや障害物を排除して進んでいけるだろう。しかし、最大の課題はリンと黒羽を見つけ出すこと。彼らがどこにいるか、どんな状況にいるか分からないが、今は前に進むしかない。
草原を抜け、るなは不気味な森に足を踏み入れた。木々の間から差し込む月光が、微かな光となって彼女の進む道を照らしていた。リンや黒羽の足跡は見つからなかったが、彼女の耳に微かな音楽が聞こえてきた。音楽隊としての訓練の賜物で、そのメロディは彼らの演奏に似ているように感じた。
るなはその音を頼りに歩みを進めた。ゲームの世界であっても、音楽が彼女たちをつなぐ鍵になるかもしれないと信じながら。