表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

影響やお出かけ、フランスのうな丼

 どこかへ出かけよう。ヒッチハイクでも自分の車でもいいから、自力でどこか遠くの景色を目にしてみたい。

 それは最近みた古いロードムービーの影響をさっそく受けているのが明らかだった。別にそれが嫌だったというわけではない。自分のルーツを暴かれれば、誰だって多少の照れが出るものだろう。ときどき誰からの影響も受けていないと銘打って、自分たちは完全なオリジナルだと主張する人がいる。影響を嫌うやつほど、その影響を嫌う姿勢はいったい誰の影響だと聞けば、彼らはどんな赤面をみせるだろうか。


 こんな小言から私の旅は始まった。私はヒッチハイクという柄ではないし、また免許も持っていないからとりあえず青春十八きっぷを買った。時間はかかるが、時間さえあればこれでほとんどどこへでも行けた。先ほどまでのロードムービーの話からは道路や車など消え、私はずっと線路のうえで揺られていたが、実際日本でロードムービーを撮るとなれば、こうして電車に乗って移動するのが一番自然な落ち着きなのかもしれない。

 こういう単に原典を真似るのではなく、その舞台や場面に応じた変換を行うのはとても大切なことだ。そうでなくては、フランスのお話を日本人で撮るのに、俳優の顔をベタベタ白塗りして頭に金髪のカツラをかぶせるようなマヌケなセンスを認めることになる。フランスでいうガレットが日本でいう何に置き換えられるのか、逆に日本のうな丼がフランスでいう何に置き換えられるのかをちゃんと考えるべきなのだ。あなたが映画を撮るのなら。


 あなたが映画を撮るのなら。最近のよくある映画や小説のタイトルと語呂が同じでいいね。こんな語呂ばかりだ。語呂がいいと売り上げに貢献するのだろう。語呂がいいことのダサさったらないはずなのだけどな。

 それでも多少ダサい方が隙があって人に好かれやすくなるというのはとてもわかる。私も隙のない人や作品とずっと接しているのは息苦しいし、対象を自分にとってみても己の隙を隠し続けるのは辛いものがある。旅の恥はかき捨てとはいうが、この諺はどうも私向きではなかった。きっぷを通して行く町行く町、僕は町ごと人見知りして何も楽しくなかったよ。ああ早く帰りたい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ