君は、冬の夜に隠れた
冬の雨に
濡れた自転車で
走り出した
この掌に感じる
乾いた雫
未だに想う
真夜中の闇が
根こそぎ
かっさらった
そんな肌寒さ
片隅に忘れ去られたよう
ぽつんと佇む街灯
灯りの香る熱
いつかその光に向かう
羽を背負う虫たちが集り寄る
不気味と不思議はなんだか似てる
不意に現れては
目に見えない透明になってゆく
行方知らずの
別れ人のように
冬の雨に
濡れた自転車で
走り出した
後ろに股がる
もう一人の影はいないまま
寂しい夜を駆けていかなくちゃいけない
止まらないブレーキ加速させて
直線もわざと飛ばして遠回り
この掌に感じる
乾いた雫
未だに想う
真夜中の闇が
根こそぎ
かっさらった
そんな肌寒さが今日もある