9 私と幼馴染2
一日一日よく考え、よく悩み、何も思いつかず、けれど終わってみれば楽しかったで終わる。そんな毎日を私は過ごしている。いや、過ごさせてもらえている。
「戻ったぞぉ。で?今日はなにするんだ?」
さっぱりとした顔で戻ってきた彼の顔をみて何度も思ったことを今日も思う。
「これといった用事はないんだけど……うーーん、まっ、こういう時間もいいでしょ?とりあえず座ったら?まだ朝だしゆっくりしなよ。」
「狂花に起こされたんだが?」
「やだわ。夏輝が私の匂いで起きたんでしょ?」
「やめろ。そんな特技は無いし、人を勝手に変態にするな。」
毎日同じようで、どこか違う。似た毎日なのに新鮮な気持ちで楽しく思えるこの空間と時間が好きだ。
「でも、夏輝は変わり者よ?私と同じくらいか……とりあえず負けず劣らずぐらいの。クラスの皆も言っているわ。」
「もしそう見えているのなら、いつもいるやばい幼馴染のせいだと思うんだ。」
「それってつまり……公認カップルって事?!」
「……はぁ?もう訳が分からん。今の会話でなぜそうなる。」
呆れたような顔をしつつも、前に座りしっかりとこんな話にも付き合ってくれる。
「うーーん。夏輝ってさ苦手な人とかいる?私から見た感じだと本当に誰とでも仲良くなりそうだよね。」
「常日頃からやばい人と関わっているとな、どんな人間も普通にみえてくるんだよ。大抵のことには驚かなくなるしで自分でも驚いている。だから、人付き合いで苦手と思ったことはここ最近無いな。」
「なるほど。でも、そのやばい人って大丈夫なの?何かあったらいつでも言ってね?いつでも駆けつけるから。」
「狂花、お前楽しんでるだろ。」
「ふふ、しっかり意識してくれているようで嬉しい。」
そうしていつものような話が終わると、彼は小さく息を吐く。そして立ち上がり、タンスを開けて服を取り出す。
「どこか行くの?」
私が彼にそう言うと、彼は着々と出かける用意をし始め
「せっかく朝早く起きたんだ。何もしないのも勿体ない。どこか出かけようと思ってるけどどうする?」
「山。学校近くを特に考えもなしに歩きたい。って言ったら、一緒に来てくれる?」
「まぁ……悪くないな。じゃあ行くか。」
「うんうん!お供しまーす!」
こうして私の何気ない日常は、何気なくない朝から、今日も始まる。