53 幼馴染はアタリが強い
文化祭が終わり、ちょっとした日常が戻ってきた。
「おはよう夏輝。昨夜はよく眠れたかしら?」
「……あぁおはよう。そういや俺の朝はこんな感じだったな。」
朝目覚めた時、布団の横に狂花がいる。文化祭の期間はクラスの準備などもあって、お互いに忙しかったためにそういった事は無かった。
「今日は土曜日……平日に比べるとまだマシか。」
「朝の時間のことを言ってるなら、今日からまたスタートよ。」
「なぁ、本当にずっと思ってたことなんだが、登下校の時だけでよくないか?」
「私は恥ずかしがり屋だから。学校以外のところでないと気持ちのアピールができないの。」
「恥ずかしがり屋ぁ?気づいたら家に居たり、話したいからなんて理由で急に授業中に突っ込んできたりする奴がどの口で言ってんだか。」
行動力の塊のような生き方をしているのが狂花だ。良くも悪くも、思った通りに動き、思った通りに喋るのが狂花だ。
「それは違うわ。私が躊躇わないのは夏輝が関わってることだけよ。流石にそれ以外の時となると、流石の私も数秒迷ってしまうわ。」
「数秒なんだな。」
「まぁ、結局考えるのが面倒くさくなってやってしまうのだけれど……」
「しかもやるのか……マジか、俺以外にもそんな感じになってきてんのか。」
薄々思っていたが、やはり俺に対する言動が過激になっていくにつれて、本人の日常生活にもその変化は訪れてきているようだった。
(……ん?それってやばくね?)
何か、自分が気づいていないうちに良くない変化がおきていた。
「あれ?俺以外にも……って言った?もしかして、もしかしてそれって嫉妬ってやつだったり?」
「いいや、そのもしかしては万に一つもありえない、何故なら、これは嫉妬じゃなく相手への心配だからだ。」
そう、今の話を聞いて五切川先生のことを思い出した。もしかしたら自分の知らないところで、五切川先生のように気持ちのこもった辛辣な言葉を狂花に吐かれた生徒がいるのではないかという心配である。
「ちなみに狂花。文化祭の準備の時に、クラスのやつと喧嘩とかしたか?」
「喧嘩なんて日常茶飯事よ?まぁ大体私が悪いんだけど。」
「自覚ありは一番ヤバイやつだ……よし、分かった。月曜の朝から学校一緒に行こう。」
「言われなくても初めからそのつもりよ?でも自分から言うのと、相手から言われるのとじゃ嬉しさとか全然違うから、今のはちょっと嬉しかったかも。」
一人気分が上がっている狂花をみて、俺は決意した。
(何がなんでも、何としてでも、どんな手を使ったとしても、狂花には俺以外に普通に関われる友人を作ってもらわねば。このままじゃ、色んな意味で心配で、見て聞いてるこっちが怖くなってくる……)
自分の問題ばかりで、しかも狂花に助けてもらってばかりで、忘れていた。狂花は元々中学の時から、よく人とぶつかるやつだった。
「今度は……俺の番だな。」
文化祭が終わり、外が少しだけ冷んやりとしてきた時、俺の計画は始まった。




