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35 冬川夏輝の想い

幼馴染と海へ行き、自身の気持ちに気づいた俺は、その夜にある当たり前のことに今更気がついた。それは、男女の付き合いは難しいということだ。

何となくで絡んでたはずの存在が、次第に大きくなっていく。そして厄介なことに、気づいた時には大体が一線を超えている。

初めましてからいつの間にか友人に、いつしか日常には欠かせない存在に、そして気づいた時にはどうしようもないほど大きな存在に。距離が縮まったらと思うと途端に遠く感じてしまう。


ようやく歪から普通へと変わった関係なのに、変えてくれた彼女に対して、今度はまた別の気持ちを抱いて、それを求めている自分がいる。

都合が良く、迷惑をかけまくったというのに、あまりに自分勝手な気持ちと振る舞いばかりではないかとそんな自分に嫌気がさす。

気持ちを伝え変わる関係が予想できないのも怖いし、彼女に自分から何かを求めた時にどうなってしまうのかも怖い。後ろ向きな、臆病な考えだけが思いつく。


そこで改めて、行動も言葉も、自信に溢れている幼馴染である夏和狂花の凄さを思い知る。今になって思えば、彼女の言動の一つ一つにはとんでもない勇気が必要だったろうに。

向き合い方と言うべきなのだろうか。見る目が変わりそこに気がついたからこそ、ふざけていたように見えていた彼女の行動は全て本気だったのだなと思う。少なくとも、俺ではふざけた気持ちで狂花と同じことはできないのは確かで、だからこそ、今の関係もまだ歪なままなのではないかとも思う。


特別な存在だということを伝え、好きだと言われ、ただそれだけになってしまっている関係。今日の海も、お互いにそこに触れることなくただいつも通りの時間が過ぎていってしまっただけだった。


「あぁ、分からん。何をどうしていけばいいのか……」


そしてその日はとことん迷い、答えが見つからないまま、俺は眠りについた。

そうして、新たな悩みの種を抱えた俺が迎えたその次の日朝。いつものように目覚めると、布団の横にはいつものように、当たり前のように夏和狂花が座っていて


「おはよう夏輝。それと今日は朝にもう一つ伝えたいことがあって、好き。付き合ってほしいの。」


「ん。あぁ、おは……は?えっ?」


夏和狂花。彼女はまだまだ止まらないのだった。





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