25 幼馴染と夏祭り2
祭りというのは不思議なもので、毎年開催され屋台なども特に変わったりしないのだが、何故か毎年新しい気持ちで楽しめてしまう不思議な行事。
そして毎年のように去年も楽しかったから、今年も楽しかったと思い出が更新されていくのを感じる夏の醍醐味であり、主役のようなものだ。
「高校生になってもそれは変わらないか。」
もう何度もやってくる地元のお祭りも、毎年心踊り純粋に楽しめてしまうのは俺が子供すぎるのか、それとも楽しすぎるのか分からないが
「夏輝?私とお祭りが行けて嬉しすぎて独り言?」
「あぁ。本当に狂花の浴衣がよく似合ってるなって話。」
「やだ。変な妄想しないで?流石に家に帰るまで我慢してくれないと困っちゃう。」
「あれ?そういう話だったか?」
「独り言か妄想、どちらかにしなさい。私個人の意見としては、独り言には付き合えるけれど、妄想には流石の私も付き合えないから独り言をお勧めするわね。妄想は家に帰ってからのお楽しみにとっておきなさい。」
馬鹿みたいな会話だ。それでいて楽しい会話でもある。いつもの狂花との冗談の言い合い。そう、いつもと同じはずなのに、浴衣姿で夏祭りを一緒に来ているというシチュエーションが加わるだけで、こうも気持ちの盛り上がりに差が出る。
俺自身も気持ちがふわふわと浮ついているのもあるが、狂花も鼻歌を歌い身体を揺らしながら歩いているのをみると、なんだかんだでお互い楽しめているんだなと思う。
「夏輝ー、花火って何時からだっけ?」
「二十時とかじゃなかったか?」
「あーー、じゃあ後三十分近く時間あるのかぁ。遅刻した罰の食べ物は買ってもらってもう食べ終わちゃったしぃ、どうしよっかなぁ。夏輝は何かやりたいことある?」
「いや、俺は特にないよ。充分楽しめているし。それよりも、時間が空いたのなら花火の場所取りに行かないか?どうせならいい所でみたいだろう?」
「あーー、アリだね。そうしよっか。と、言い出すということはどこか心当たりがあったり?」
当然だ。もう何年目だと思っている。中学生の時、狂花と仲良くなるまでは基本的にぼっちだった俺は、祭りの時どうすればクラスメイトに出会わず祭りを楽しめるかを真剣に考え、実行していた。穴場なんて、これでもかっというほど知っている。
「ふっふっふ。当然、ある。あそこなら人も少ないだろうし、ゆっくりできると思う。話しやすい場所でもあると思うし、最高の場所だ。」
「おお!それいいね。そこにしよう。そんなにいい所、連れてってくれるの?」
「まぁ、遅刻したし。その分って言ったらあれだけど、存分に楽しんでもらえるぐらいのことはしないとな。」
「ほほぉ。じゃあお言葉に甘えっちゃおかな!今日は夏輝による夏祭りデートプランを楽しませてもらっおっと!」
デートとかそういう意味で言った訳ではないのだが、満面の笑みでそう言われてしまうと否定しづらい。ので、今日ほそういう事にしておく。
「……楽しんでいただけるよう頑張りますよっと。」
高校生になって初めての夏祭りは、遅刻から始まり、そして狂花との話しながらの食べ歩き、そうして次に花火へと、夏の普通の時間が、ただ楽しく経っていった。




