19 自称幼馴染について2
正直、腹の立つ男とは思っていたが、一応は心配してくれての言葉というのは今の自分にも分かった。自分の気持ちが強く前に出て、相手のことを思う前に言葉が先に出てしまう今の自分にとって、自分の性格の悪さを分かった上で話しかけてくれる人は自分にとって心地よかったのかもしれない。
「おう、おはよ。」
「……どうして冬川君がいるのかしら。」
「朝の学校、幼馴染と一緒に登校。なんか良いシチュエーションじゃないか?」
「そうね。その相手が自称幼馴染じゃなければ百点満点だったかも。」
朝、学校へ向かうためマンションを下りると、エントランスの扉の先で自称幼馴染の冬川夏輝がそこに立っていた。もちろん、一緒に行く約束などしていない。
「いやな、せっかく数年ぶりに絡んだのに、その関係が一日で終わっしまうのは勿体ないと思ってな。」
「勿体ないと思えるほどの思い入れはないでしょ。そこまで仲良くないのだから。」
「仲の良さは問題じゃない。気持ち的な話だよ。一日話してそれだけだと、薄い印象で終わっちまうだろ?でも次の日も絡むとなると、色々と変わってくる。どうなるかは絡んでみないと分からないけど。」
「そう。じゃあ今のあなたの印象を教えてあげる。ストーカーまがいのことをしてくる自称幼馴染で犯罪者の一歩手前で調子乗ってる奴。」
「印象というよりただの悪口じゃないかそれ。」
本当にこの男の精神はどうなっているのだろう。なぜ数年ぶりに少し話した程度の女の家の前で朝から待ち、一緒に行こうと、いや行けると思っているのか。
「あなた、頭は正常?」
「正常だよ。というか、逆に異常だった場合、それこそただの犯罪者じゃないか。俺はしっかりとした考えと目的があって来てるから、しっかりと正常だ。」
「それはそれでどうなのよ……というか、目的って?私になにか用があったの?」
「おいおい、本気で俺がただ来ただけだと思ってたのか?まぁ……いいか。」
はっきり言って、本気でそう思っていた。悪い人ではなさそうだけど、どこか少し変わった人と。いや、少しどころか何を考えているのか分からない変人。
「狂花の悩み事、俺なら解決できるかもって話なんだけど、どう?」
「はぁ?」
でなければ、昨日今日出会ったばかりと言ってもおかしくない私に、朝から会いに来てこんな事を言いだしたりなんかしないだろう。




