表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/63

17 幼馴染を知る

中学生の時、何もかもが悪い方向へ進んだ時期があった。他人の不幸なんて、いくらでも近くで見てきたはずなのに、沢山知ってたはずなのに、どこか他人事だった。


「……ありえない。どうすればいいの?」


取り返しのつかない不幸を経験して、どこか他人事だった不幸が自分を襲った時、初めて私は泣きたくなるほどの不安がどういうものかを知った。


「よりにもよってどうして……」


大きな怪我をした。バスケットボールが好きでバスケ部に入っていて、スタメンに選ばれ、キャプテンも任されて、今思えばかなり幸せで幸運だったと思う。練習の中で行われた部活内での練習試合の最中に、自身の足首から、手で紙を思いっきり破いたかのような音がした。

私は倒れ、ただひたすらに痛みに耐えられず泣き叫んでいた。すぐに運ばれ、そのまま病院へ直行だった。

そしてその後運ばれた病院で、アキレス腱がちぎれかけていると言われ、手術が必要だと言われた。


「これからは激しい運動は控えるようにしてください。」


手術は成功したが、自力で普通に歩いて生活するには、長いリハビリが必要だと言われた。そして、仮にリハビリが上手くいっても極力運動は控えるようにとも。


「よかった……上手くいって。一緒に頑張っていこ?歩けるようになるよ!」


母は喜んでいた。だが、私は素直に喜べなかった。実感が無かったのだ。


(あれ?私……もしかしてもうバスケできないの?)


分からなかった。私はよく分からなかったから、勝手に色々と話が進んで、そして気づいたら、私は大好きだったバスケができない身体になっていた。

あれだけ好きで本気で頑張っていたのに、あんな一瞬の出来事で、こんなにも呆気なくこれまでを否定された事実に、私は理解が追いつかなかった。


「なわけ……そんな訳ないよ。」


術後、少しの期間を経た後、松葉杖での登校が許可された。


「あーー、やるよやるよ。無理しなくていいよ。」


「階段、手伝うね?」


「無理して来なくていいよ?足、大変なんでしょ?」


でも、そこは私の知ってる学校じゃなくなってた。友達も親友も先生も先輩も、どこか壁を感じて、今までの関係が嘘だったかのように思えた。勿論、みんなが優しくてそう言ってくれるのは分かってる。けれど、そう考えてしまうようになっている自分がいる。


「……私が、変なのかな。」


バスケができなくなっただけ、運動ができなくなっただけで、ここまで大袈裟に考えてしまっている私がおかしいのだろうか。


「なわけ……なわけないでしょ……分かるはずないんだよ……皆に……私の気持ちなんか。」


上手くいかないことが、これだけ悔しくて、腹の立つことだとは知らなかった。いや、考えたことすらなかった。

友達や親友や家族、部活の先輩後輩に対して、段々と素っ気なく冷たい対応になっていった。そんな自分も嫌になっていくという負の連鎖に陥った。


「……ウザイ。何も知らないくせに。知ったような口して優しくしてこないでよ……ほんと腹立つ。」


学校だけじゃなく、帰る時も段々と一人になる時間が増えていった。そして、一人で愚痴りながら帰るのも当たり前になってた頃のことだ。


「お前、泣きながら何言ってんだ?」


部活をズル休みし、いつものように愚痴りながら帰ってた私に、一人の男が声をかけてきたのは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ