11 私と幼馴染4
今の気持ちを三つで表現するなら、寂しい、悔しい、不思議だ。
寂しさ悔しさを感じる理由として、一つは今の状況が原因だろう。彼が飲み物を取りに行った瞬間、私は寝てるようにみえる体勢になり、目を閉じて彼を待った。
「おっ?寝てんのか?やっぱり無理して起きてたか……まぁ寝かしといてやるか。」
戻ってきた彼が言った言葉だ。そして彼はその後一切触れてくるどころか、起こしてくる気配すらない。
(何故!!何かしらのアクションはとるでしょ普通!寝てるから放置って……もっとすることあるでしょ!!男なら!)
心の叫びを直接聞かせてやりたいが、このまま実は起きてましたなんてやっても面白味がない。なにより、心の中にある敗北感がそれを許さなかった。
(うーー、なんとしても向こうから何かさせたい……大丈夫かー?とかそんな感じでもこの際良いから……)
何も思われてない感じがして寂しくて悔しい。
(でも……どこか安心してる自分がいる。)
こうなる事、夏輝はこうするんだろうなという自分の想像とほとんど変わらない今の状況に、寂しさと悔しさといった不満はあるが、どこかこれが自分の知っている夏輝だなという安心感があった。不満なのに、満足もしているという矛盾したそんな自分の気持ちを不思議に思う。
「……起きた。」
途端に、面倒くさくなった。それにこの時間が勿体ないと気づいたからでもある。
「あれ?嘘寝はもういいのか?」
「気づいていたなら襲ってよ。受け入れたのに。」
「我慢してよかった。危うく狂人の餌食になるとこだった。」
「最後の一言が無かったら満点だった。」
今日は、何もかも空回りしている気がする。暑さで調子が狂ってしまったのかと思うほどに。
「もう寝とかなくても大丈夫なのか?」
「うん。今は映画を観たい気分かも。」
「アクション系かホラー系ならオススメある。」
「うーーん、じゃあアクション系で。」
何気ない会話の中での一言だったけれど、それだけで胸が高鳴った。
(我慢してよかった……かぁ)
いつの間にか敗北感は消えさり、その心にほんの少しだけ、嬉しさが混じった満足感が、私の心を満たした。




