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10 私と幼馴染3

誤算だった。


「おーーい、大丈夫か?」


何もかも万全で、計画も瞬時に立てることに成功し、やりたい事だった山登りが叶うと思っていたのに。


「うう、目眩が……」


まさかの熱中症で速攻帰宅になってしまうとは思いもしなかった。


「全く……限界まで我慢するからこうなるんだ。いきなり倒れた時は本当焦ったんだからな。」


挙句の果てには夏輝に担がれ、しっかりと看病させてしまうという情けなさ。


「ううう、言い返す言葉もない……自宅まで運んでくれてありがと。」


「自宅じゃなくて俺の家な。」


「私たちの家でしょ。」


「その状態でも変わらないのな。」


夏輝が用意してくれた冷やし枕と、頭の上に置かれている氷のおかげで、ようやく普通に話せるぐらいにはなってきたが、やはりまだ元気とまではいかない感じだった。

倒れるところを支えてくれて、瞬時にここまで戻って適切に処置してくれたおかげだ。山登りが台無しになってしまったが、重症とまではいかなかったのが不幸中の幸いと言うべきだろう。


「で?だいぶ落ち着いてきたか?」


「うーーん、まだしんどいかなぁ。人工呼吸が必要かもしれない。」


「元気だな。じゃっ俺は下に……」


「待って、氷の追加お願い。」


心配をかけてる側がこんな事思うのは最低なのかもしれないが、個人的にもう少し慌ててほしいというか、いつもとほとんど変わらない態度の夏輝をみると、少し寂しい思いになる。


「ねぇ夏輝。ごめんね?せっかくの休みなのに。看病させちゃって。」


「いいよ謝らなくて。誘ったの俺だし。むしろごめん。」


「夏バテって本当にあるんだねーー。自分がなるとは思わなかったなぁ。」


「……だな。あっ、そうだ。冷房効きすぎてないか?寒かったら言ってくれよ。」


私は首を横に振った。そこで、私はある一つのいい事を思いついた。


「ねぇ夏輝、今日泊まっていい?しんどくて帰る気にならない。家には連絡するから!もし許しがでたら、泊まっていい?」


熱中症。それだけで一日が終わるのはどこか寂しい。なら、利用しない手はない。


「……あのなぁ。いくらなんでもそれは無理だ。娘が熱中症で倒れたってのに泊まりを許可してくれるわけねえだろ。しかも男の家だなんて。今日は落ち着いたら家に一旦帰れ。」


そう言ってきた彼だが、私があっという間に親から許可をとった後は、何もかも察したというか諦めたような顔をして


「……もうおかしい。勝手にしてくれ。考えるのも疲れた。」


その一言だけ残して、気怠そうに彼は、一階に飲み物を取りに行った。


「ふふ、泊まりかぁ。たまには熱中症もありだなぁ。楽しみぃー!」


昼終わりの時間、冷えた部屋と冷えた身体で、私は一人そう呟く。

たまには不測の事態も悪くないと、私は学んだのだった。


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