#5
お題1「女子だらけのお花見」
お題2「カラオケ大会」
3月も末、桜も満開を少し過ぎた頃。
私達冴えないジョシーズは
休みを合わせ、ささやかな花見をすることにした。
場所はいつもの公園。
ここの桜は名所に比べれば大したことはないが
それでも時期には綺麗に咲いているもので。
「ほれ、金麦ー」
「サンキュ。 はい、これ唐揚げとか色々」
「おー、エーコの料理美味しいんだよねー」
「ビーちゃんのそれ何?」
「これ? アンテナショップで見っけたワンカップ」
「へー、ご当地キャラのカップなんてあるんだねぇ」
「ご当地キャラと言えばさー」
花見をしながら、他愛もない話で盛り上がる。
あの漫画の推しはあーだこーだ、
あのゲームではなんちゃらかんちゃら。
そう、私達冴えないジョシーズは
いわゆる腐女子の集まりである。
三人そろえば姦しくそのような話で盛り上がるのだ。
ほどよく酔いも回ってきたころ
「あ、あっちの集団カラオケ大会やってるね」
「どっかの会社のお花見かな」
「気持ちよさそうに歌うねぇ、下手だけど」
と、別グループのカラオケ大会に茶々を入れる。
大体はおじさんによる少し古めの曲が歌われている。
両親世代、からもう少し下あたりだろうか。
聴いたことはあるかも、程度の曲が目立つ。
「あれ、もうお酒ない?」
「こっちはもう空だよ」
「も少し買っててもよかったねぇ」
「ワンカップまだあるよ、飲むー?」
「ちょっと分けてー」
「あ、今度は若い子が歌うみたい」
「上司に歌えって言われたんだろねー」
「やだー、パワハラ―」
などと言いながらその子のカラオケに耳を傾ける。
「お、これあのアニメの曲じゃない?」
「ほんとだ、入ってるもんだねぇ」
「あのアニメ、私ダレダレ推しだったなー」
「あの子、何気に上手いね」
「ね」
「あっちじゃなくてこっちくればいいのにー」
へっへっへと笑いながらワンカップを開けていく。
「時間も時間だし、そろそろウチらは撤収しよか」
「カラオケでも寄ってく?」
「あんたは横になりたいだけでしょ」
「へっへっへ、バレたか」
「んじゃ、あたしンちで二次会するか。
折角だしあのアニメ流しながらさ」
「異議なーし」
「あんたんチで歌っていい?」
「それは近所迷惑だからダメ」
冴えないジョシーズはそれなりに
お花見も人生も楽しんでいる。
なんだこれ。な ん だ こ れ。
相変わらずメチャクチャだなぁ…