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01.巣鴨課長の独り言

 人類の科学技術の進歩は留まることを知らなかった。

 もちろん技術には不公平はない、皮肉なことに技術の進歩は犯罪にも恩恵を与えた。

 サイボーグやパワードスーツ、アンドロイドが特に物理的な破壊を伴う重大犯罪には悪用された。

 高度化するAIやバイオロイドの技術が更に犯罪を凶悪にするのだった。


「本当に頭が花畑になりそうだ、現実世界だけでも人の扱いは大変なんだ。それなのに仮想世界で人の能力を超えた能力開発された者達?」


 上はチートな能力を持つヒーローが揃ったのだから喜べと言うのだ。


「「君も今日から課長だ頑張り給え」」


 そんな言葉で騙されはしない、ここは新しい部隊だろ。

 それなら部隊長のはずだ、なんで課長なんだ!!


 俺は不貞腐れて、ブツブツ呟きながら机に荷物を入れていた。


 そうそう、俺か?俺は巣鴨忠すがも ただし36歳独身、そして警察機構に新しく組織された部隊の課長に推薦されて今日着任するんだ。


 最新の犯罪に対抗できる凄い組織に配属された俺はエリートだと思うだろう。


 違う違う。


 凶悪犯罪に対応するために、警察機構は最新技術導入を進めた。

 だが、残念なことに警察機構としては人の判断を重視しなければならないため、サイボーグを基本とした特殊部隊が中心だった。


 言うまでもない、犯罪組織は日々進歩する最新技術を取り入れるのだ。

 その上無慈悲な最新殺人機械を送り込んできたため、サイボーグを中心とする部隊では押さえきれなかった。


 抜本的な対応策に迫られた警察機構は新たな対抗策となる新組織を幾つか試験的に作った。


 その中にキメラ(キマイラ)を冠した部隊(NUE)という部隊が創設された。


 そこの課長になったという訳さ。

 本当のことを言うと、キメラ部隊に配属されたと言うことは、俺もエリート階段から落ちたということなんだ。

 大体おかしいだろう、部隊の長なら部隊長だぜ、なんで課長なんだ?


 しかし最新のAIに組織の犯罪検挙率を推測させると3割と予測され、7割は失敗すると予測された。

 

 要するにAIが失敗すると太鼓判を押した部隊か…当たり前だな、この組織に所属しているのは子供だしサイボーグ手術のような改造など一切していいない。

 アニメにある様な超能力なんて未だに実用化していないからな。

 なんでこんな部隊を作ったんだ?、AIに聞かなくても俺でも分かるぞ、というか3割って成功確率高くないか?



 机を片付けるとコーヒーを入れた。

「やっぱサイフォンで自分で淹れるコーヒーは格別だな、どんなAIが淹れるコーヒーより美味しい、というかここはアシスタントロボも居ないのか?」


 一口飲むと背もたれにもたれ掛かって背伸びをした。


 そうそう、付け加えると俺も正真正銘の人間だ、サイボーグじゃないぞ改造なんか無縁だ。

 もっとも俺は安全なんだ、なぜなら現場には行かない。

 俺なんか最新技術戦闘なんか起これば、何の役に立たないからな、現場に行き指揮をするのはマリオネットの俺だ。


 色々とこの部隊の資料も読んでおかなければならない。

 気にもしていなかった部隊名の由来を読み始めた。


 部隊名の由来はキメラ計画に由来する。

 彼らの能力がそれにあたるのだ。


 そしてキメラ(キマイラとも言われる)はギリシャ神話にある怪物のことである。

 そして、日本では相当するということで(ぬえ)と言われている妖怪に相当するらしいのだ。

 そこで部隊名は(NUE)なのだ。


 その後、部隊の名簿を見始めると、メンバーの名前が目に入った。


「藤堂 明彦……この子が藤堂本部長のお子さんだな」

 その子は端正な顔をしているがやせ細った体をしていた。

 もちろん数か月前の写真だ、今は未だマシになっているだろう。


(NUE)を構成するキメラの子供達それは、藤堂部長が関わって大騒動になった大事件『キメラ計画の子供達』事件の被害者達。藤堂部長は自分の子供を助けたいという気持ちが大きすぎた結果、解決はしたが警察側は大勢の犠牲を出して事件は終わった。藤堂部長は警察機構を私物化し捜査を強行したとされ大問題になった事件だ」


 一番の被害者は子供達だったはずだ、なのになぜこの子供達を警察は表舞台に出そうと言うのだろうか?


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