表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
開運グッズに魅せられた男の話  作者: 津田サトミ
1/1

最後の砦

男の名は佐藤太郎。眉目秀麗・スポーツ万能・成績優秀。

だが、彼はほぼ全身に開運グッズを身に着けている。


 俺は佐藤太郎。すぐに名前を覚えてもらえる。友人の九条は面白いからか?放っておいてくれるが、俺は開運グッズが大好きだ。

 何故ならば、グッズを身に着けるようになってからは……

  4畳1間→豪邸暮らし  浪費癖のある両親には上限のあるカードを持たせて海外へ行かせた

 しかし、過去に浪費癖がある両親がいたためだろう。食器一つとっても高価なものだとなぜか体が震え、割ってはいけないという警告が遠くから聞こえる。

 

 えー、俺の家が金持ち(一般)になったのには、俺がたまたましていた株があたったというだけで、先祖代々とかいうわけではない。

 バイトをしている。やめるのは何か落ち着かない。バイト先の店長は俺にホールで働いてほしいらしいが、俺はグッズをはずすのは嫌なのでホールで働くこともない。


 これでも高校生。バイトは校則で禁止されているが、俺は特例。貧乏だったから。しかし、今も続けている事は学校には伝えていない。


「よ、佐藤。お前……この制服……」あ、九条。気づかれた。似たような生地を俺が手縫いで作った俺手製制服だ。

「バレないと思うけど……ムダに技術高いよな」

 褒められたのか?けなされたのか?

 両親の浪費癖は俺の進学にまで及んだためであるが、ここの学費は高い!公立ならマシなのに。


「佐藤……何度言えば済むんだ。ジャラジャラはずせと言って……」

 体育教師だ。いつの時代も熱いなぁ。

「何か?」と俺が微笑み返すと「いや、何も」と終わる。いつもの事だ。

「確かにジャラジャラしてるよなー」と九条。

 身に着けてないと不安なんだから仕方ないだろう?


 九条はお茶の家元。

「今度、うちでお茶点てていけよ。できるだろ?茶道」

 ゔ、器用がアダとなった。

 できるけど、和服でアクセ。試してるのか?

 家元ってキビシそうだしなぁ。

 絶対はずせって言うだろうなぁ。むしろ外さないと家に入れない?

「あー、うちの家元はわりと軽くてなー。家元なのに」

 家元って九条のじーさんだろ?うーん、どうだろ?読めない。

「俺、和服持ってねーぞ」と言ったが、『貸す』の一言で終わった。


 さて、どうしたもんか。と考えながら授業を受ける。

「じゃ、佐藤。答えてみろ」と急に言われた。

「気分が優れずに気も虚ろでした」と言うと、「あ、そうなのか。保健室にでも……」

「いえ、授業中はいますよ」と言うと、先生にいたく感動された。

 本当にどうしたもんか?


 で、九条家

「あいかわらずでかいな」と俺は至極庶民的な感想を言った。

「そうかー?慣れもあるからなー」と九条は返す。そういうもんなのか?

 九条が頭を下げている。ってことはこのじじ……おじーさんが家元ってことか。

「なんだよ、男か。つまらん。さっさと茶を点てるか。してそのジャラジャラしたのは何だ?」

 俺はとりあえずの説明をした。

「そうかー。運はそんなものに引き寄せられん。ところで、お前の名前は?」

「はい、佐藤太郎です」

「マジか?本名だろうな?」

「マジで本名ですよ、家元」と九条が言うと、家元爆笑。

「家元、はしたないですよ」と九条。

「まっ、和服でもよかろうて。自由なのが茶道の本来の姿。私も本当は……」

「家元、真面目に指導してください」と九条。

「着物……美女が来ると思っていたからなぁ」

「あぁ、おばあさんのを用意してたんですね。俺のでいいでしょう」


 というやり取りの後に茶室に行った。流石に本格的。当たり前だけどさ。

 茶道具を使う手が震える。んー緊張じゃないから、高価なんだろうか。

(answer:年代物。庶民は使わない、使えない、使おうと思いもしない)

 ああ、自分の器用さが憎い。できるんだもん。茶器の値踏みまでしてしまう。

 うあ?話がうわの空だったが、何?

「すいません、もう一度お願いします」と俺は言う。茶器の値踏みをしてて聞いてなかったとは流石に言えない。

「えーとな、佐藤。家元に茶道を習いたいって金持ち多いんだけど、相手にしてらんないから佐藤が相手してやってって話。バイト代は出す。一人当たり10万でどうだ?」

「やる!ただし、茶道具がもっと安いもじゃないと俺の心臓がもたない」

 だろう。国宝級?って感じだし。

「太郎」呼び捨てだよ、家元。

「なんでしょうか?」

「うちのメンツもあるから安っぽく見えない安物をお前が探して来たらオッケー。あ、予算2万で」

 1万あればいーんじゃない?

 金持ちは無下にできないし、面倒らしい。大変だなあ。庶民万歳。


「太郎の着物は美実(よしみ)のをきせればいいし、他に質問は?」

「美実って誰ですか?」

「俺」と九条は言い、家元は指をさす。

「指で人をさすのは失礼ですよ」

「孫に失礼もクソもないだろ?」

「美人の孫が欲しくて名前を妊娠発覚で即決めたらしい。迷惑だよな」

「うちもテキトーすぎってのもあるけど」

 美人の孫ねー。俺の妹も俺が知らないうちに海外で生まれてるかもだし。でも黙っとこう。家元が食いつきそうだ。


 そしてvs金持ちとの茶道

「本日指導を家元より任されました、佐藤と申します」

「家元じゃないのか……」というヤジを覚悟していたが、金持ちマダムの心をつかんだようだ。

「皆さまはどのくらい茶道を嗜まれていますか?」

 ふっ、俺を見ているから、俺が使っている茶道具が安物とはなかなか気づかないだろう。

 回答を聞くと、「なんだよ、一人で点てれんじゃんかよ。家元に教わっているって肩書が欲しかっただけか」。となんだかつまらんなぁ、金持ちという人種はと思った。

「佐藤さんは茶道はどのくらい……?」とマダムのうちのひとりに聞かれた。正直、こないだ初めて1回点てたのみなんだが……。

「以前より家元のお孫様と親しくさせていただいて、それが縁で始めた程度の若輩者です」

 嘘は言ってないよな?

「佐藤さんは慎ましいのねー」と思わず好印象。

「フン、茶器の良し悪しもわからんのだろう?」と金持ちの旦那。

「コレ、どっちが高価だ?」と問題を出された。

「見るだけですか?持つとかナシですか?」持てれば高価なら震えるからすぐわかる。

「持つくらいアリよー!」とマダムたちの後押しもあり、茶器を持った。

 アレ?両方震えない。

「どちらかは確実に100万越えだからな」と聞いても震えない。

「えーと、どちらも安物じゃないでしょうか?」と俺は答えた。

 マダムたちは驚いていたが、一番驚いているのは問題を出した金持ち。というか最初から問題を出す気で茶器を持ってきてたんだろうな。俺じゃなくて家元だったらどうしたんだろう?

 売ってるところが知りたい!より安い茶器を!

 マダム達に「あの人って金持ちなのにケチなのよね」など言われている。

 俺も九条を“お孫様”って(笑)。 九条の下の名前って知られてないんだな。あいつ成績良かったよな。掲示板に名前載らないか?俺だけ知らなかったんだろうか?


 えーと、茶道的なふるまいではないので厳重注意を家元よりいただきます。主に注意されたのは俺に喧嘩を売った金持ちの旦那。


「おい。お前、家元となんかやったのか?家元不機嫌だぞ?」と俺はある日九条に呼び出された。全く身に覚えがない。

「家元がなんか怒ってたぞ」と九条に言われた。割のいいバイトが……。あれ以来順調で1人10万だから、1回九条のところでお茶をやるだけで50万くらい稼げる。時給にすれば超破格だろう。俺はそんなバイトを失いたくない!

「何だかわからないけど家元に謝る!」と急ぎ九条家へ行くことにした。

 九条母に家元が怒っている原因を聞いた。

 前に俺が指導をしてからというもの、マダム達の間で“佐藤指名”で指導希望が増えたらしい。マダムの間で俺は人気らしく、口コミも含めて‘佐藤を見てみたい’と思うのが増えたという話だ。

 家元としては、俺の方にマダムが来ることがまず不満のようだ。次に男性の方がvs佐藤で決起しているみたいな感じらしい。

 家元曰く「金持ちはプライドが高くて持ち上げなきゃならないとこが面倒」らしい。

 うーむ、困った。マダムの方は家元になんとかしてもらうとして、金持ちの若旦那かぁ。面倒だなぁ、扱いが。


 翌指導時

「流石に生まれついてのものですか?茶を点てる所作もちょっと違いますね」と俺は言う。

「そ……そうか?」若旦那は満更でもない様子。嘘に決まってんだろ?

 こういうのが嫌で家元は俺に相手しろって言ったんだなぁ。と今更思う。

「あの……佐藤さん?その……和服にアクセサリー類ってどうなの?」

 キター!家元と打ち合わせ済みだ。

「これらはうちの祖父の遺品でして、和服に合いませんか?」

 合わないよなー。

「佐藤さんなら、合います」その答えは何?俺なら?


 という事があったと九条に話したら爆笑していた。

「それ、お前の祖父の遺品なのかー!すげー趣味だな、おい」

 まぁ、そこは俺も思う所があるけど、これらが遺品ってちょっとヤダ。

「それを身に着け、茶を点て、ぶほっ」ゴホッと爆笑は続く。筋肉痛になるぞー。

「でも、家元との打ち合わせで決めたことだから」

「うちのじーさん、おもしれー」

 九条だってのちは家元なのに、下品だし軽いノリだな。


「あ、コレいーなー。金運上昇」

「これ以上あげてどうするんだ?欲が深いとイカンぞ」

 九条に言われても説得力がない……。たぶんイカロスの翼の事を言ってるんだろう。……と思いたい。


うーん、俺は

  家内安全→両親を海外へ行かせた

  金運上昇→たまたましてた株があたる+九条の家でバイト

  無病息災→健康(俺)


 で、恋愛運とかいらないし、今のでいいかなぁ?と思いながら家に帰った。

「「太郎!」」

 ゲッ、親父とお袋。……が抱えてる子供がいるし。

「太郎ちゃん、元気してたー?」くそー海外に行かせたハズだったのに。

「海外に行ってたんじゃないのかよ?」

「「えー、だって。英語もできないし、パスポートないもん」」と口を揃えていった。

 親父曰く「お袋の実家にいた」らしい。

「で、その子は?」

「「太郎の妹ー!」」マジかよ。

「名前はねー、明日香」ほー、俺と大違いだな。


 俺の平穏は破られた。

「太郎、まだバイトしてんのー?」

 あんたたちが浪費するからな。

「あ、そうだ!親父、茶道はできねーの?お茶を1人に指導すると10万ってバイトがあんだけど、できねー?お袋は育児だろ?」

「バカ太郎!今はイクメンの時代なんだよ」

 ……それは働きつつ、育児もしますーって人だよ。あんたは違うよ……。

 つまり、収入は俺任せってことだな。とある種達観してしまった。


 九条に愚痴った。

  両親が海外に行ってなくて、俺に妹がいる事。家計を支えるのは結局は俺な事。

「災難だな。お祓いした方がいいんじゃないか?」

「開運グッズは否定するけど、お祓いはOKなのか……」

「お祓いする人紹介しよーか?」ちょっと笑ってる。まぁ、他人事だもんな。

「俺には開運グッズ達があるから(多分)大丈夫」


 甘かった。

 夜中に明日香が泣けどもうちの両親は起きず。何故起きないんだ?イクメンはどこにいるんだ?

 結局、俺が家計を支えつつ、明日香の夜泣きに付き合う事となった。


Side 九条

 佐藤は面白い。最初はどんな奴かと思った。会えば普通にイケメンだった。ただジャラジャラとアクセをつけているところが異彩を放っていた。

「佐藤君はアクセサリーに興味があるのかい?」

 と話しかけてみた。

「アクセサリーに興味があるわけじゃないよ」

 と返ってきた。何で?

 理由を聞くと、親の浪費癖、アクセサリーではなく開運グッズ(なるほど変なセンスのものもある)に興味がある事、以前にたまたま株で大当たりして今の生活ができている事などを聞いた。

 ふむ、開運グッズって結構変なのもあるよなー。と思い、家に遊びに行ってもよいかを聞いた。夕方6時過ぎならよいという話だった。

 時間指定が気になる。ちょうど、夕飯支度時くらいで迷惑では?と思ったが、アトにはひけないし。まぁいーや。

 

 夕方6時過ぎに学校に聞いた住所に行った。所謂豪邸に住んでんじゃん。夕飯なんて使用人が作りそうな感じ。

「九条です。お邪魔します。えーとつまらないものですが」

 と俺が和菓子を差し出すと、佐藤は喜んだ。マジ、これでいいのか?


 昔、4畳半一間で暮らしていた時に株が当たって、親が(勝手に)この家を買ったらしい。よって使用人などはいない。維持費がかさむから普通の一軒家の方が使い勝手はよい。と佐藤は言う。


 など愚痴を色々言う。その両親は『海外に行かせた』とのこと。今まで会ってきた人間と違うのが佐藤の魅力だと思う。



「開運グッズ、効き目ねーじゃん。少なくとも、家内安全はダメだろ?」

 九条に言われた。その通りなんだけど、なんか離れがたいなぁ。依存症みたいな?

「手首に着けてるやつだろ?はいサヨーナラー♪」

 九条はあっさりと俺の手首から取って、ゴミ箱へ捨てた。

「お前、最近『マジで疲れてるー』ってオーラ出てるよ」

 それは明日香の夜泣きは100%俺が世話するから。

「で、うちと新聞配達のバイトしてんだろ?新聞配達はしなくても大丈夫じゃねー?」

「うーん、うちの財布を100%預けれれば……こうしている間も浪費しているかもだし」

「お前、病気だね。佐藤の財布、うちに預ければ?どーせバイト代も入れるんだし」

 灯台下暗し。あの家なら大丈夫だな、うちの両親の事を言っておけば。

「嘘言って財布を戻そうとするかもだけど?」

「うちの使用人には全員注意しとこう」

 九条なら安心だ。


 しかし、家元に明日香の存在知られるんだなぁ。でもまだ0才だし。

 今なら、九条は犯罪もロリコンも超えるよ……。てか圏外だろう。


「太郎!妹に会いたい。会わせて下さい」

 キタな。予想通り。でも家元に敬語使われたら断れないじゃん……。

「まだ0才だから、サルみたいですけど?」

「今後美人になるかを見極める」

「家元、そんな審美眼が?!」

「私を侮るな」何故怒られる。

 

 翌日

「九条の家元が明日香を見たいんだと。バイトに連れてく。えーと、紙おむつにミルクに……と」

「じゃあ俺らも行くか!」

 親父とお袋は来るな。と二人は置いてきた。

 あーあ、なんか九条家に明日香を売る気分だな。育ててるの俺だし。

「佐藤です。明日香を連れてきました」

 言い終わる前に使用人たちに囲まれて、育児グッズと明日香は連れていかれた。

「九条、明日香はどこだ?」

「ん?じーさんのとこかな?」

 九条と家元のところに行った。家元、目に見えて破顔中。

「失礼します。家元、で明日香はどうですか?」

「いやあー、可愛いー。うちに養子ってダメ?」

「ダメです」

「じゃあ、美実の嫁ね。決定ー!可愛いんだもん。このままうちで育てていい?」

 うーん、それは……。

「一応俺の一存で決められません」

「いるだけで太郎の両親の面倒みるよ?」

 九条家の威光が眩しい。うちの両親の面倒はおいしい。でも俺の妹だしなぁ。しかも九条の嫁?17才離れてるぞ。

「九条はいいのか?」

「美人になるんだろ?OK」

 こいつもたいがい軽いよなぁ。この件はうちの両親に聞かないとなぁ。


 うちの両親

「うちの家族、みんな九条家で面倒見てくれるのねー!OK」

 明日香が人身御供のようだ。いいのかよ、お袋。

「たまには顔見せるぞー」親父もノリ軽いし。ああ、眩暈が……。

「佐藤、無病息災って効果ないな」と容赦なくネックレスを九条は取っていった。

 俺に残されたのは弁財天ピアス……に見えるイヤリングのみ。

「俺の面倒を見てくれるわけじゃないし、俺は自分で稼いでいるし……」

 う~ん、嗚呼……うちの家族は変だ。家族って言うか両親。


翌日、明日香は九条家に行った。そりゃあちょくちょく会えるだろうけどさぁ。

「佐藤、お前の財布を預かる」

 おお、明日香の事ですっかり忘れかけていた。

「はい」と渡した。

「佐藤……」九条が笑っている。ツボにはまったらしい。

「これはないだろう?」というが、めでたい七福神が刺繍された小銭入れだぞ?

「あ、札はないぞ?うち、持っていると使われるんだよなー」

「どうしてるんだ?」

「タンス預金。でも親父が嗅ぎつけてなー。困っていた所だ」

「よし、銀行に行くぞ。印鑑を持て」と九条に言われた。


 印鑑持ってない……。

「仕方ない。作るか。単純な名字だから、複雑な印鑑にしないとな」

 そこは九条家。御用達(?)のような業者によってすぐに作られた。

「印鑑はうち、九条家で預かる。これも使用人に口止めとか親御さんには渡らないように言っておく」

 こういう所は頼りになるんだよなぁ。


「口座を開く。通帳に入れれば、印鑑と通帳がなければお金は銀行からおろせない。あ、カード作るか?ATM使えるもんな」

「えーてぃーえむ?」

「うわっお前、ATM知らないで今まで生きてきたのかよ?とにかく口座開設からな。名義はお前。えーとお前、この前までどのくらいの人数相手に茶ー点てた?」

 次期家元が乱暴な言葉遣いだな。

「うーん、50人くらいかなぁ?」

「んじゃ、500万で開設っと」

「俺は500万なんて持ってないぞ」

「俺の口座にたんまりある」そうだった。九条は生粋の金持ちだった……。

「ATMの使い方だが……暗証番号4ケタ決めろよー」

 突然そう言われてもなー。誕生日とかはダメみたいだし。そうだ!明日香の誕生日!って俺しらねーよ。いつなんだよ?教えろよ、うちの両親。

 なんだかんだで決めた。

「で、口座は開設された。毎月ここの口座にお前のバイト代振り込むからなー」

「ATMの使い方は?」

「ああ、この機械あるだろ?」

―いらっしゃいませ、通帳又はカードをいれてください―

「おい、九条。機械がしゃべるぞ」

「落ち着け。何時代の人だよ。んで、通帳又はカードを入れる。カードはあとでうちに届くように手配しといた」

 金持ちはできるな。

「仕方ないな。俺のでやるか」と九条。

「記帳……引き落としとか振り込みとかみたい時、手書きじゃないぞ。したい時はこのボタンに触れて通帳を入れる」

「ほー、って九条!機械が色々しゃべる」

「落ち着け、そういう機械だ」

「引き出す時はこのボタン。えー2万くらいでいっか。と操作していく」

「へー」魔法の機械だな……。

「逆に預けるときはこのボタン。さっきの2万を入れよう」

「ほー」あ、食われた。

「注意、時間外は手数料引かれるからな?」

「了解です、先生」

「では、俺のカードで引き出し・預け入れを。で、通帳に記帳をしてみましょう」

 スパルタだな……この先生。


 明日香は九条家の使用人にも可愛がられてスクスク育った。現在10才で俺と九条は27才

「九条、明日香に手ー出したら完全にロリコン犯罪者だからな」

 と言っておいた。

「あ、お兄ちゃん!とよしみさん」

 はあ!?よしみさん?

「九条、お前明日香に“よしみさん”って呼ばれてんのか?」

「まあ、家元がな。そう呼ぶようにって」

 九条も準家元みたいなもんだろうに。

「明日香、お前将来自分が九条の嫁になるって知ってるか?」

「知ってるもん。よしみさん大好き!」

 兄、ショック。

 九条は俺に言う「あと8年は手出さないから安心して」

 できるかー!!


 18才になった明日香、うん美人だよな。

 あの家元、新生児の審美眼があるのか……。まだ生きてるし、ひ孫抱くとか言いだすし。

 俺も九条も35才だが、8年経ったし九条マジで明日香に手ー出すのか?


 あーあ、俺は金運とかはあったケド、まずは友人の運がよかったのか悪かったのか微妙だな。いつの間にかイヤリングつけなくなってたし。

 九条家に来るようになって和服の機会が増えたからかな?

 あーあ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
名前は佐藤太郎、眉目秀麗・スポーツ万能・成績優秀な青年の話しだね。趣味?は、開運グッズを身に付ける事。親友は、九条美実、茶道の家元の孫。佐藤君は、身に付けた開運グッズのお陰で、今の生活が出来ていると考…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ