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#11

 あたしたちは、ようやくお城に戻ってきた。鬼女は今、騎士団の宿舎の、ミロンの部屋を調べている。ミロンは、城内にいると思われるクローサーの内通者を探るため、レイラ様のことを調べていた。それが原因で、殺された可能性が高い。その証拠が無いか調べている。

 この部屋の調査は、鬼女に任せよう。あたしは、さっき思いついたことを、もう一度最初から整理してみよう。あたしの考えが正しければ、これはとんでもないことだ。

 まず、今回の一連の事件のきっかけとなった、厨房でのダリオとルドルフの密談を思い出す。


「無色透……味無臭だ。どんな料理に……も気付かれることは無い」

「判った。どのく……量を入れれば……」

「スプーン……が妥当だろうな」

「死んだ後……なる? 検死で検出され……か?」

「正直それは何とも言えん。普通……ることはまず無いが……この国の技術は他国と……に高いからな」

「毒殺だとばれるかもしれないのか!? まずいじゃないか!」

「まあそうだな。だが安心……薬は効果が表れるまで五時間ほどかかる。標的が死ぬ頃には、俺たちは街の外だ。仮に薬が検出……も、捕まることは無い」

「そうか……ならいいが」

「薬を飲ませた後は時間との勝負だ。とにかく、一刻も早く城から出ろ。四七五・三八七地点で待っている」

「判った」


 会話の内容は、こんな感じだったはずだ。あたしはこれを聞いて、彼らがベルンハルト陛下の暗殺を企てていると思い、シャドウに報告した。

 でも、これがそもそもの間違いだったんだよ。

 二人の会話の中に、陛下の名前は一切出ていないじゃないか!

 二人がしていたのは、誰かを暗殺しようという話だけ。誰かまでは、この会話では判らない。

 でも、城内には陛下を暗殺しようというウワサがあると聞かされていたし、実際エルズバーグ村で陛下が襲われるところを見ている。だから、二人が暗殺を企てていると判った時点で、標的が陛下だと、勝手に決めつけてしまったんだ。

 二人が暗殺しようとしていたのが陛下じゃないとしたら、じゃあ、いったい誰を?

 この二人の密談をシャドウに報告したら、あたしは地下牢に閉じ込められた。そのとき、シャドウとエリザベート王妃が話しているのを聞き、ダリオとルドルフの二人が、王妃の命令で動いていると知った。王妃が誰かを暗殺しようとしていたのは間違いない。でも、それは陛下ではない。今、陛下が死ねば、次の王になるのは、側室のレイラ様の子供、マイルズ王子。王妃とレイラ様は対立している。レイラ様の子供が王になるようなことになれば、王妃は今の地位を失うことになるのだ。王妃が陛下を暗殺することはあり得ない。

 そう考えれば、王妃が誰を暗殺しようとしていたのかは明白だ。

 マイルズ王子かレイラ様。もしくはその両方。

 王妃にとってこの二人は邪魔者以外の何者でもない。王妃が暗殺を企てたとするなら、この二人が標的だったと考えるのが、最も自然だ。

 でも、腑に落ちない点もある。

 はたしてそこまでする価値が、王妃にあるだろうか?

 マイルズ王子は陛下の子であり、次期国王。それを暗殺したともなれば大罪だ。いくらレイラ様が城内で力を持ち、それが目障りだからといっても、暗殺するというのは、いくらなんでも短絡的すぎるし、危険だ。暗殺の首謀者が王妃であることが露見すれば、地位を失うどころの騒ぎではない。リスクが高すぎる。

 でも、そのリスクを冒してまで、マイルズ王子を暗殺する理由が、王妃にあったとしたら……?

 ここまで考えた時点で、あたしは、とんでもない可能性に思い当った。

 ――マイルズ王子は、ベルンハルト陛下の子ではない?

 これには何の証拠も無い。ただのあたしの想像だ。

 でも、これが真実だとしたら、大変な事態だ。

 国王の世継の出生を偽る。これだけでも大変な事態だけど、加えてレイラ様は、クローサーと繋がっているかもしれないのだ。今、陛下が暗殺されるようなことになれば、この国は、クローサーに操られてしまう可能性だってあるのだ!

 エリザベート王妃は、なんらかの理由でマイルズ王子がベルンハルト陛下の本当の子ではないと知った。そして、レイラ様がクローサーと繋がっているかもしれない、とも。しかし、確たる証拠は得られない。だからと言って、このままにもしておけない。これならば、王妃が暗殺という手段に出ても、不思議なことではない。

 …………。

 すべては、ただの想像だ。何の証拠も無い。でも、真実だったら大変だ。調べないといけない。マイルズ王子が、本当に陛下の子であるかどうか。でも、それにはどうすれば? 母親に認めさせるしか無い? もちろん、簡単には認めないだろう。やはり、証拠が必要だ。陛下の子ではないという証拠……そんなものがある……?

「――やはり無いみたいね」

 考えに没頭していたところを、不意に鬼女に話しかけられた。

「へっ? 何が?」

「レイラ様の調査報告書。ミロンは真面目な性格だったから、私がレイラ様を調べろと言ったら絶対に調べただろうし、調べたなら、どんな些細なことでも報告書にまとめているはず。それが無いとなると、ミロンを殺した犯人が持ち去ったと考えられるわ」

 ……なんか、意外だな。「ミロンは真面目な性格だった」なんて。鬼女の口からミロンを肯定するような言葉が出てくるなんて、思わなかったよ。思わず鬼女を見つめてしまう。

「……何?」と、鬼女。

「いや何でも。と、言うことは、ミロンを殺したのは、やっぱりレイラ様の手の者、ってことだよね?」

「その可能性が高いわね」

 これはますます、あたしの考えが正しい可能性が高まった。

 よし、思い切って、鬼女に打ち明けてみよう。

 証拠が無い、なんて言ってられない。もしあたしの考え通りなら、大変なことなんだ。調べてみる価値はある。

 あたしは、すべてを鬼女に話した。


 すべてを話し終えると、鬼女、信じられない、という表情で、呆然としていた。

 うーん、やっぱり、あまりにも突拍子もない話だったかな? 急に自信が無くなってくる。

「……それはちょっと……にわかには信じられない話ね」

「あ、やっぱり?」

「ええ……でも、もし本当だったら、あなたの言う通り、大変なことだわ。調べてみる価値はある」

 良かった。調べてもらえそうだ。「でも、どうすればいいの? ベルンハルト陛下とマイルズ王子が本当の父子かどうか調べる方法って、あるの?」

 鬼女はしばらく考え、「アルバロ様にお願いすれば、すぐに判ると思うわ」

「そうなの?」

「ええ。DNA鑑定、というのをすればいいの」

「でぃえぬえぃ……?」訳の判らない言葉が出てきた。「何? それ?」

「遺伝子とも呼ばれる、まあ言ってみれば、人体の設計図みたいなものね。例えば、あたしとあなたは、全く違う人間よね。だから、人体の設計図も全く異なるわけ。この世界に同じ人は二人といない。つまり、すべての人間は、このDNAが異なるの。でも血縁者なら、非常に似たDNAになる」

 鬼女、ものすごく熱心に説明してくれる。でもあたし、正直に言う。「ごめん、何言ってんのか、さっぱりわかんないんだけど……」

「……私もよく判らないわ。アルバロ様の受け売りよ。実際に鑑定するのはアルバロ様だしね。要は、DNA鑑定をすれば、ベルンハルト陛下とマイルズ王子が本当の父子かどうか判るってこと」

 まあ、この国の魔法技術はあたしの想像をはるかに超えている。そういう技術があっても、なんら不思議じゃない。今までも、信じられないことばかりだったんだから。

 鬼女はすぐに通信機でアルバロ様に連絡した。数分後、やってきたアルバロ様に、あたしはすべて話した。

「なるほど……話は判った。証拠は何も無いが、そなたたちの言う通り。もし本当であるなら、大変な事態だ。判った。DNA鑑定をやってみよう」

 話を聞いたアルバロ様は、すぐに承諾してくれた。良かった。

「それで、DNA鑑定というのは、どうすればいいのですか?」教えてもらってもあたしに理解できるとも思えないけど、一応訊いてみる。

「陛下と王子の細胞を採取し、それを魔法にかけ、鑑定するだけだ。鑑定自体は難しいものではない。問題は、王子の細胞をどのようにして採取するかだ」

「細胞――とは?」

「体の一部分なら何でもよい。入手しやすいのは、髪の毛だろうな」

 鬼女が腕組みする。「このような事態になったからには、レイラ様もかなり警戒しているでしょうね」

「少なくとも、わしやリュースが王子に近づけば、かなり警戒されるだろうな」

 確かにそうだ。あたしの考えが正しかったとして、ミロンが死んだこのタイミングで鬼女がマイルズ王子に近づけば、レイラ様はかなり警戒するに違いない。

 ……と、二人があたしをじっと見ているのに気がついた。「な……何ですか?」

「エマ、あなたしかいないわ」

 あ、やっぱり。

「そうだな。第八隊の誰が近づいても警戒されるであろうし、かといって他の騎士に頼むこともできぬ。レイラ一人で全てを行っているとは思えん。息のかかった者がどこに潜んでいるか判らん以上、お主しかおらぬな」

 アルバロ様も同意する。ふう。危険だけど、しょうがない。あたしが言いだしたことだし、それに、ミロンの仇を取ることにもなる。よーし。やってみよう!


「いい? エマ。じゃあ、もう一度確認するわね」

「ええ」鬼女の言葉に、あたしはうなずく。

「まず、入手する髪の毛は、確実にマイルズ王子本人のものである必要がある。だから、本人に近づき、直接採取しなければいけない。いいわね?」

 あたしは黙って頷いた。

「手はずはルドルフのときと同じ。通信機で、あなたの動きは大体把握できるわ。もし、少しでも危険だと感じたなら、『そう言えば、あの話は聞きました?』と言って。すぐに踏み込むわ」

「判った。そのときはお願いね」

「まあ、何かあったとしたら、その時点でレイラ様はこの事件と何らかの関わりがある、と言うことだから。DNA鑑定の手間が省けていいんだけどね」

 ……あのねぇ。

 でもまあ、逆に言えば、レイラ様はそう簡単にあたしに手出しはできないということだ。ルドルフのときより、はるかに安全だろう。それだけ、失敗は許されないということだけど。

「じゃあ。頼んだわね」

 アルバロ様と鬼女に見送られ、あたしはレイラ様の部屋に向かった。

 トントン。ドアをノック。しばらくして。

 ガチャリ。ドアが開く。

 あたしの部屋の倍ほどの大きさだ。ベッドやクローゼットも、あたしの部屋のものより高級そう。ぐるりと室内を見回す。護衛の騎士が四人。メイドが六人。あたしにはクレア一人しかいないのに、同じ側室でも、あたしとこれほどの差があるものか。

 まあ、それは別にいいんだけど……部屋の奥。いた。レイラ様と、マイルズ王子。レイラ様は椅子に座り、メイドに髪をといてもらっていて、マイルズ王子は馬のおもちゃに乗って遊んでいる。

「これはエマ殿。よくいらっしゃいました。さあ、中へ」

 レイラ様、口ではそう言うものの、実際は特に歓迎するわけでもなく、だからと言って警戒するようなそぶりも見せず、そのまま椅子に座って髪を整えていた。

「はて? お一人でいらしたのですか?」

 しまった。側室が一人で行動するのはまずいのかな? レイラ様もエリザベート王妃も、城内を出歩くときは、たくさんの人を後ろにぞろぞろ連れている。あたしもクレアと一緒に来るべきだったかも。でも、もうどうしようもない。

「ええ。あたし一人です。たくさんの人と一緒にいるのは、なんだか慣れなくて」適当にごまかすしかない。

「ほほ。やはりエマ殿は変わっておられますね」扇で口元を隠し、上品なしぐさで笑った。疑われたかどうかは判らない。「して、今日はどのような御用件で?」

 ……あんまり気にしてもしょうがない。大丈夫。鬼女の言った通り、レイラ様がこの事件に何か関係しているとしても、簡単に手は出せない。早く王子の髪の毛を手に入れよう。

「特に用と言うほどのことは無いのですが、お城に来て一週間。こちらからまだ御挨拶に伺っていませんでしたので――」

「まあ、それでわざわざ。そのようなお気づかいなど無用でしたのに」再び口元を扇で隠し笑う。

 とりあえず、今回の目的はレイラ様ではない。マイルズ王子だ。王子を見た。あたしには何の興味も持たず、相変わらず馬のおもちゃで楽しそうに遊んでいる。

「マイルズ王子、こんにちは」にっこり笑い、声をかけた。王子はあたしの顔を見ると、同じように笑い返してくれた。

「王子は、おいくつになられたのですか?」

 あたしが続けて訊くと、王子は「にしゃい」と舌足らずに言って、右手で指を二本立てた。けど、まだうまくできないのか、三本立ってしまっているところがなんともかわいらしい。

「そうですか。もう二歳になられたのですか。王子はなかなか賢くていらっしゃる」

 褒められたことが判るらしい。王子は嬉しそうに微笑んだ。屈託のない、純粋な笑顔だ。もし本当に、この子が陛下の子でないとしたら……それは、あまりにかわいそうだ。こんな、まだ何も判らない子供を、王族間の、そして、国家間の争いの道具に利用するなんて。

 …………。

 それは、あたしも同じだろうか?

 レイラ様が世継の出生を偽っているのでは? と考え、それを調べようとしている。理由はどうあれ、あたしもこの小さな子供を利用しようとしている。

「――エマ、今は余計なことは考えないで」

 耳にはめている通信機から鬼女の声。もちろん、あたし以外の人には聞こえない。

 鬼女には、あたしが何を考えているかなんて、お見通しってわけか。

 …………。

 まあ、ここは鬼女の言う通りだ。余計なことをあれこれ考えない方がいい。あたしのやろうとしていることが正しかろうと正しくなかろうと、それは関係ないのだ。今回の事件では、すでに何人もの人が死んでいる。このまま何もしないと、犠牲者はもっと増えるかもしれないのだから。

 ――――。

「あらあら、マイルズ王子。髪が跳ねてますよ。せっかくの男前が、台無しです」

 お昼寝の痕だろうか。後ろ髪が、ぴょん、と跳ねている。かわいらしいと言えばかわいらしいけど、今はそれを利用させてもらおう。あたしはくしを取り出し、王子に近づいた。

 警戒されるだろうか?

 二歳とはいえ、相手はこの国の時期国王だ。あたしは側室ではあるけど、このお城に来てまだ間もない。「気安く近づかないでください」と言われても、不思議はない。近づきながら、あたしはレイラ様や護衛の動きに注意を払う。

 幸い、レイラ様も護衛も、笑って見ているだけだった。

 あたしは王子の小さな頭にくしを入れ、そっと髪をといた。細く、まだ髪質がしっかりしていない。これなら簡単に抜けそうだ。

 王子は気持ちがいいのか、あたしに頭を預け、されるがままになっている。ゴメンね、と、心で謝り。

 ぷち。

 少し強く、くしを引いた。

 ――しまった!

 くしを引いた瞬間、まずい、と思った。力が入りすぎ、予想以上に髪の毛が抜けてしまった。

 そのとたん、王子、火がついたように大声をあげ、泣き始める。

「何事ですか!?」

 レイラ様も声をあげ、部屋の中に緊張が走る。護衛が武器を構えたのが判った。

 ――大丈夫、まだ大丈夫。

 自分に言い聞かす。

「申し訳ありません! くしが髪に引っかかってしまいました。王子、痛かったでしょう? ああ! あたし、なんてことを!」

 王子を抱き寄せ、頭をさする。

 レイラ様が鬼のような形相で王子をひったくった。そして、頭をなでる。あたしは、「本当に申し訳ありません!」と頭を下げつつ、王子の髪がついたくしをポケットに入れた。

 しばらく王子の頭をさすっていたレイラ様。大したことはないと悟ったのか、笑顔を浮かべ。「これこれ、王子。あなたは将来この国の王となる方ですよ。このくらいのことで泣いてはいけません」

 諭すように言うと、王子も徐々に落ち着いてくる。部屋の中の緊張した空気も、一気に緩んだ。

「本当に、申し訳ありませんでした」もう一度頭を下げた。

「いえ、お気になさらずに。大したことはありませんでしたから」まだ少しぐずっている王子の頭をなでながら、レイラ様は笑顔で答えた。

 ――ああ、王子。本当に、ゴメンね。痛かったでしょうね。本当に、ゴメン!

 心の中でひたすら謝る。

「王子に嫌われてはいけませんので、今日はこれで失礼します。また改めてご挨拶に伺いますので」

 そう言って、またまた頭を下げた。

 王子には本当に悪いことをしたけれど、目的の物は手に入った。あとは部屋を出るだけだ。

 あたしは何度も頭を下げ、部屋から出ようとした。

「エマ殿、お待ちを――」

 レイラ様に呼び止められる。

 ビクッ、っと震え、立ち止まる。

 ……しまった。今のはまずかった。呼び止められただけで震えるなんて不自然だ。でも、もうどうしようもない。

「――なんでしょう?」平静を装う。

「今朝は、本当に大変でしたね」

 今朝――暗殺未遂事件のことだろう。あたしが食事の部屋に踏み込んだとき、レイラ様とマイルズ王子も、あの場にいた。

「はい。本当に大変な事件でした」

「あの捜査、あれからどうなったかご存知ですか?」

 訊かれ、心臓がドクンと、大きく血液を送り出す。

 どういう意味だろう?

 あたしが鬼女たちと協力して事件を捜査していることを知っている?

 いや、ただ世間話のつもりで訊いたのかもしれない

 レイラ様を見た。相変わらず扇で口元を隠している。表情が読めない。

 何と答えるべきだろう? 何と答えれば不自然じゃない? 考えているヒマは無い。黙り込んでいるのが一番不自然だ。

「判りません。あの後騎士団の人に、あたしが知ってることを全てお話しして、それっきりです。今、調べているのでしょうが、特に何も聞いていません」

 言ったあとで、少し、まずかったかな、とも思った。あたしが鬼女たちとお城の外に出たことを知っている人は多いだろう。それがレイラ様の耳にも入っているかもしれない。……いや、考えすぎかな。あたしが鬼女と行動を共にしていると知っていたら、あたしが会いに来た時点で、もっと警戒しているはずだ。

 いくら考えても判るはずもない。なるようになるしかない。

「――そうですか。近頃は城内も物騒になってきました。お互い、気をつけましょうね」レイラ様はそう言っただけだった。

 あたしはもう一度頭を下げると、ようやく部屋の外に出た。

 ふう、良かった。でもまだ気は抜かない。あたしはゆっくり歩いてレイラ様の部屋から遠ざかり、角を曲がり、周りに誰もいないことを確認して、ようやく大きく息を吐く。

「王子の髪の毛、無事入手したわ」

 ポケットに入れておいた通信機を取り出し、鬼女とアルバロ様に伝えた。

「よくやったわ。早速DNA鑑定を行いましょう」

「ええ――」

 あたしは、走って鬼女とアルバロ様の待つ部屋へ向かった。


 そして夕方。

 アルバロ様の鑑定は、すぐに終わった。結果は……。



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